検索窓
今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:172,320 hit

15話 ページ15

はぁはぁと 上がった息を整えながら、手だけは作業を行なっていく。
遠征出発の鈴の音が聞こえてきて、彼は行ったんだ と少しだけ安心した。

あの夜の事もあり、私は霊力を一切貰わない期間が最高記録を更新している。
確かに時々、尋常じゃないくらいの渇きはやって来るが、あんな言葉を聞いた後に
頼める心の強さなんて私は持ち合わせていない。
出来ることならこのまま、彼に見苦しい姿を見せずにいれたらと 願わずにはいられなかった。

しかし、現実はそう甘くなかったらしい。




一通り干し終わり、ジリジリと照りつける太陽に目を細めた時、異変は突然訪れた。

ズキンと、心臓を何かに刺されたかのような
鋭い痛みが襲い掛かり、私は持っていたカゴを ガタンと地面に落とし、呻き声を上げた。
咄嗟に胸を押さえて、前屈みになるが、身体の内側からガンガンとハンマーで叩かれて
いるかのような 激しい衝撃に 視界が360度回転する。
冷たい汗が肌を伝いながらも、兎に角何処かに腰を下ろしたい と、ヨロヨロと、
もたれかかれそうな、そして尚且つ人目につかない茂みへと足を引きずった。

何だ、この痛み。こんなの、初めて。
今までの渇きとか苦しさとは訳が違う。

なんとか日陰に入り 木に手を添えると
急に内部から何かが込み上げてきて、
ゲホゲホと酷く咳き込み、口を手にあてた瞬間、ビチャっと手に生暖かい熱を感じた。
ぼやける視界に映る、赤色の液体に慄く。
口に広がる鉄の味。

「‥‥血」

自業自得とはいえど、私はかなりヤバイ状況だったみたいだ。
戦った訳ではないのに刀剣が血を吐くなんてことがあるのか?
主様に言うべきだろうか、いや、でも‥。
私は 痛みに顔を歪めながら悶々と考える。

そこに、
「何をしているんですか?」
突然、降ってきた声に私はビクッと肩を震わせた。

16話→←14話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (281 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
356人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。