2話 ページ2
しばらくすれば、身体の内側から力が湧いてくるような気分がして、私はゆっくりと離れた。そして、唇を袖で拭い、頭を下げる。
「‥ご、ごめんなさい。 ‥‥あ、り、がとうございます。」
ぶぁっと顔が熱くなる。こればかりは何回やっても慣れない。
‥‥‥申し訳なさすぎて溶けそう。
我に帰れば恥ずかしさは募るばかり。
普段の私はは決して自分から誰かに触れることなどしない。それどころか極度の引っ込み思案な私が ここまで彼に触れるのには
理由があった。
それは、深刻な霊力不足。
鍛刀時の主様の霊力トラブルにより、私は誰から貰わないと 身体を維持できない、不安定な存在になってしまった。
主様を責めるつもりはない。でも、刀解は許されなかった。
申し訳なく、何度も頭を下げた後
私はおずおずと乱さんの所へ戻っていった。
最後まで鶴丸さんの顔は相変わらず見ることが出来ない。
「大丈夫だった?」
「‥‥うん。本当にごめんね。呼んでくれてありがとう。」
「いーえ!」
乱さんは何も言わない。何も無かったかのように、いつも通り接してくれる。
でも、その笑顔は少しだけ私は辛い。
‥あぁ、本当に情けない。
ーーーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
「わぁ!美味しそう‼」
「腹減ったぜ!」
昼餉。 ざわざわと賑やかな声が広間に響く中、私は一番端に腰を下ろして、もぐもぐと
口を小さく何度も動かしながら食べていた。
静かに、大人しく。
まるで 楽しそうな皆とは正反対で、私の所だけに影がかかったようなそんな気分になった。
A という刀は本来、大人しい性格ではないらしい。どちらかというと、明るくて、声も大きくて、 皆の輪に自分から入っていくような性格だ。
それは、演練で他本丸の自分を見る時に強く感じていた。
元は同じはずなのに、ここまで違うのかと
打ちのめされた記憶はまだ新しい。
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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時