桜と君と僕らの嘘 ~secret story~ (ページ7)

今日:18 hit、昨日:4 hit、合計:336,642 hit

大切な君 ~紫耀~ ページ7

～紫耀side～

「A、ほんまに来ーへんなぁ…」

空になったいちごオレのパックを潰して放り投げると、弧を描いてゴミ箱にコン、と入った

ついこの前まで男4人だけやったのに

Aが来てからはパアッと花が咲いたみたいに明るかったから

やっぱりいなくなると寂しいな…

優「また放課後には来るよ、昼ぐらい自由に食わせてやろうぜ？」

そう、Aももう高校生

俺たちといるより、女の子同士の方が楽しい時期かもしれない

しょう、しょうって、くっついてきてた子供の頃とはもう違うんや

玄「俺たちには話せないようなことだってあるだろうしね」

勇「ガールズトークだな」

「ガールズトーク…」

優兄の言った通り、Aは放課後には笑顔で来てくれた

俺たちにとって大切な大切なA

Aのこの笑顔を俺は絶対に守りたい

A「ねぇねぇ、昔よく遊んだ公園って〇〇公園だっけ？△△公園だっけ？」

優「どっちもよく行ったよ、俺は〇〇公園が好きだったな！ターザンがあったから」

A「ターザン？」

玄「ロープに捕まってシューッて移動するやつだよ」

勇「あれは人気だった、取り合いだったね」

A「あれって……そういえば誰か落っこちなかったけ？」

廉「あー！落ちた落ちた！誰やったっけ…カイ？」

A「カイちゃん…だっけ？」

最近やけに昔のことをよく聞いてくるようになったA

Aは昔の記憶があまりない

それは

小さかったからってだけじゃないんだ

だから、俺たちは時々嘘をつく

Aを守るために

「確か玄樹じゃなかった？」

優「あぁ……そうだな！玄樹だ！」

玄「俺……だね！うん」

そうだっけ？って首を傾げるAと

ハッとしたような廉

廉は少し俯いたあと不安そうな顔で俺を見た

俺は

大丈夫って、小さく頷いた

.