~相談~ 廉side ページ44
廉side
「え？」
顕「これ、Aちゃんが探してたやつだと思うんだけど」
突然話しかけられたと思ったら、目の前に薄汚れた物体を差し出してきた阿部顕嵐
確かこれAが紫耀に買ってもらってたキーホルダーやん
でもなんか汚なくねーか？
「なんでこれお前が持ってんの？」
顕「……実はさ」
何日か前にAが失くしたらしく、ずっと探していたら今朝見つけたって
阿部顕嵐は気まずそうに俺に言う
「Aに渡せばいいやん」
顕「いや、だってこれ…こんな汚れてて」
「まぁ…確かにな」
白かったはずのクマ、布製だからか砂まみれで茶色くなってる
顕「Aちゃん傷つくよね？凄く大切なものみたいだったし」
「……で、なんで俺に？」
顕「だから……どうしようかなって」
「え、どうしようかなって相談？」
顕「うん、どうしよう？」
ズッコケそうになった
阿部顕嵐、チャラそうに見えて実はそうでもなかった
とりあえず汚れたなら洗ってみようということになり、男二人でちっこいクマを水でゴシゴシ洗ってみる
顕「……なんか余計汚くなってない？」
「……なんでやろ」
砂が入り込んですっかり茶色に染まったクマ
しゃーないな
このまま渡すか…
.
A「どこにあったの！？」
顕「えっと……あっちの方に落ちてた」
A「あっち？なんで…」
顕嵐が指さしたのは体育館の裏の方
あんなとこに落ちてたって、不自然すぎひん？
A「ありがとう、顕嵐くん」
顕「ううん、良かったね見つかって」
A「うん……」
すっかり汚れたキーホルダーを受け取って、複雑な表情をするA
そんなに気に入ってたんかな…
「今度新しいの買ってやるから元気出せって」
A「……」
「シロクマがヒグマになったって思えばええんちゃう？なぁ？」
顕「いや、それはちょっと」
顕嵐くん、そこは乗っかるとこやねん
.
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作者名：たかりな | 作成日時：2017年3月12日 21時
