プロポーズは世界一の舞台で。

14.プロポーズ５秒前。 ページ14

「そういや大谷君ママは今どこにいるの？来てるってＬＩＮＥで言ってたんだけどー」

選手たちの壁を抜け翔平の背中に手をやりながら聞く久美子さん。

「多分恥ずかしがって隠れてるんですよねあの人笑 連れてきます笑」

ちょっと待っててくださいと言い残しお義母さんの元に走っていく。

「急に表れてごめんなさいね。久美子です。ラーズの母やってます」

「すごく会いたかったんですよ！ニュースとかで見て明るくて素敵なお母様だと思ってて！」

「あらやだ〜そんなに褒められたら照れちゃうわよ〜もう〜笑 ところでなんと呼べばいいかな？大谷君の彼女ちゃんって呼ぶには長いじゃない？」

自分の名前を告げると、名前まで綺麗なのか！と笑顔の久美子さん。

「嫌だったら嫌って言ってくれていいんだけどAさん抱きしめてもいい？ごめんね急に、でもなんか抱きしめたくなっちゃって」

もちろんです！そう答えると、

Aさん頑張ったね


今日ぐらい周りなんて気にしなくていいからね


何か言う人居たら私が相手する！


堂々と横に立つのよ


暖かく抱きしめてくれた久美子さんの言葉が私を解放してくれる。


「母さん連れてきましたー！」


恥ずかしそうな母をいたずらっ子の表情で連れる翔平。


「いや〜大谷君ママーー！！やっと会えた！！」


「たっちゃんママー！ＬＩＮＥだけじゃやっぱダメね〜！」



お義母さんは翔平の手から離れるや否や楽しそうに久美子の手を取る。


そして二人の母はこそこそとやり取りを始める。


お義母さんがこういう風にママ友と楽しそうに会話するのをずいぶん久しぶりに見る気がして嬉しくなる。

そんな二人のママを眺めている私たちのもとに栗山監督が来て翔平になにか真剣に耳打ちをしてそれに頷く翔平。


じゃおっけ？


はい。


それだけが私には聞こえた。


そして栗山監督は二人のママに目線をやる。

「侍ジャパンのみなさんと集合写真撮りたいんですけどいいですかね監督」

と、久美子さん。

「申し訳ないんですけどAさん撮ってくださいます？」

栗山監督は手を合わせながら頼んできた。

「このメンツを撮れるのは光栄です！」


早々に並び始めた侍ジャパンの面々とユニの泥を取るから待ってくれという翔平。



渡されたカメラを覗くとみんな一斉に私の横を指さす。





カメラから目を離しみんなが指さす方を見る

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