05 ページ5
_
けたたましいアラームが鳴り響く。
朝の7時。
「やばっ!」
「…んんー、あとちょっと、」
「…え、」
びっくりして慌てて飛び起きると
ひとり暮らしの家に男女が仲良くベッドイン。
え、何この状況。
「けんちゃん!?」
「…A、おはよ」
「ねぇ!なんでいるの!?」
「…朝から大きい声出さんとってぇ」
「ねぇ!なんでってば!」
「…昨日のこと覚えてへんの?」
昨日の夜、酔っ払った私がけんちゃんに告白して
ろくに返事ももらえないまま家まで送ってもらった。
「居酒屋、呑んでた」
「…覚えてるやん」
「けんちゃん、面白くないモノマネしてた?」
「…あほ、昨日はしてへんわ」
告白の返事くれないくせに家に上がり込んできて、
「けんちゃん、家上がった」
「…せやなぁ」
「お水飲んでた」
「…酔い覚ましに一杯飲んだ」
大事な話がある、って真剣な顔して
…俺、アンドロイドやねんって。
「けんちゃん、アンドロイドって言った」
「…うん」
「否定、しないんだ」
「…事実やから」
「でもアンドロイドは人間と一緒には働かないって…」
「…いつの話やねん、今はアンドロイドも人間と一緒に働いてる」
ほんまにAは勉強せえへんなぁ
って笑ってるけんちゃんはやっぱりどう見ても人間。
「…その後の話は覚えてへんの?」
「その後って、なに?」
私の質問を無視してけんちゃんは大きく伸びをした。
やれやれ、って顔をして、覚えてないならいい。そう言った。
「全然よくない」
「…お前、昨日もそれで気ぃ失ったやんけ」
「そんなの知らないもん」
「…二回目やからな」
また、さっきと同じ顔をしてため息をついた。
不覚にも、綺麗だと思ってしまった。
これが、彼が、
ロボットにせよ、人間にせよ。
存分に美しかった。
_
134人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葵 | 作成日時:2017年3月6日 20時