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同期入社の彼は、仕事もできて人付き合いも上手い。
私も入社当時はそれに乗っかって友達を増やしたり。
その上、彼はそのおしゃべりな口で楽しそうに関西弁を話す。
そして、飲みすぎた日は家まで送ってくれる。
ミスをした時はうまくカバーしてくれる。
落ち込んだ私を慰めるのも、彼の役回り。
…まさに惚れてまうやろー!な状況。
惚れないわけがないじゃないですか。
それに彼は他の部署の女性にやたらモテてる。
昼休憩を利用してわざわざ覗きに来たりしてる人、結構いる。
多分いつか、そこら辺の人と付き合っちゃいそうで
それがどうしても嫌で、認めたくなくて
「けんちゃん〜、私めっちゃ好きやぁ」
酔った勢いで告白。
慣れない関西弁で、今考えると相当恥ずかしい。
「…だいぶ酔ってんなぁ」
「…酔ってないよ、本当に言ってる」
彼は酔ってんなぁ、なんて笑ってごまかしてたけど
何やら私の真剣な表情を読み取ったらしい。
「ほんまに言うてる?」
「…好き、本当だよ。…だから、付き合ってよ」
彼はしばらくだんまりを決め込んで
私を放置して困らせた後、
お店を出て私の手を引っ張ってずんずんと歩いて行った。
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作者名:葵 | 作成日時:2017年3月6日 20時