オワリにしよう。2（Daiki.A）

63（03.29 up） ページ19

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あれから先輩方や他の支社、色んな人が協力してくれて、手元にたくさんのレポートが集まった。

私はそのレポートから先方の課題を整理して、改善策をまとめていった。



あとは、これまであまり触れてこなかった自社製品を上手く売り込めるよう、試行錯誤の繰り返し。

うちの会社の酒類をどう活用すればいいか、具体的な提案書としてまとめていった。







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大貴「順調？」


私のデスクに置かれたコーヒー
ビターな良い香りが鼻腔を通り抜ける。


ここのところ、提案書作成でびっしりデスクに張り付いてる私に、こうして有岡くんがコーヒーを持ってきてくれる。


甘かったり苦かったり、どうすればこんなに味にばらつきが出るんだろうと思うけど、彼には言いません。だって、気持ちだけでも嬉しいからね。




A「ありがとう。うーん……そこそこ？」


そっかーって言いながら、後ろから画面を覗いてくる。




近い！近い！近いって！


いや、言うてそんなに近くないけど、私的には近いの！





大貴「…あー、これ。いいね。この組み合わせいいと思うな、俺も」


作成途中の提案書を指差しながら、ふむふむって首を縦に動かす有岡くん



気が散るから早く隣のデスクに戻れ！ハウス！！


って言いたいけど、言えない。



このドキドキ感を心のどこかで楽しんでる不真面目な私がいるから。


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んー……って唸りながら提案書を熟読していた有岡くんが、何も言わずに隣のデスクにハウスした。




緊張から解放された安心感と、ちょっとだけ残念な気持ち。


いかんいかん…自分を戒めてもう一度作業に取り掛かろうとした私の横で、くるんと体がこっちに向けられた気配。



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大貴「ご褒美いる？」



ハウスしたわんこに、そう言われた。

あれ？いつの間に立場逆転してたの？って呆気にとられる私を見つめながら、床を蹴って少しだけこちらに椅子を近づけてくる。




大貴「この仕事うまくいったら、ご褒美に奢ってあげようかなーって思ったんだけど」


A「え！？」


餌につられてぐるんと体を向けた私に、したり顔の彼。



A「焼肉がいい」

大貴「焼肉？いいだろう、連れてってやる」

A「ちなみに、だめだったら…？」

大貴「だめだったらー…いつもの牛丼」

A「えー！ケチ！」


とは言いつつ、もはやなんでも嬉しい私…！



やっぱりわんこは私なのか…？

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