オワリにしよう。2（Daiki.A）

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「おいおい、」


宮西さんの肩を ぐわしっ！と掴んだのは、これまたこの案件を持ったことのある東城さん。



「なんだお前か！だまってろ、今おれは、」

「お前それを言いに来たわけじゃないだろ」



東城さんに窘められ、宮西さんは呪いでも解けたみたいな顔で我に返った。

その顔があまりにもひどかったんだけど、有岡くんもツボが一緒だったのか、ふたりして声を押し殺して笑う。





「有岡から聞いたよ。店舗まわってるんだって？」


東城さんが切り出した。宮西さんも腕を組んで私を見ている。



A「あ、はい…」

「一人で全部まわる気か？」

A「え、…一応課長と要相談かな、というか…」

「ははっ、まるで計画性ないな」


東城さんが穏やかに笑う。



東城さんも宮西さんも良い先輩だけど、やっぱり彼らも人間だ。


一度自分たちが持った案件を、後輩が順調に進めてるというこの状況。

男女雇用機会均等うんぬんかんぬんとは言いつつ、まだまだ男社会だし。こういう企業は特に。



嫌味、とか…言いに来たのかな。だとしたら、すごく嫌だな。

有岡くんの方を見たら、デスクトップに向かいながらニコニコ作業してるし。なんなの、薄情者！






A「あの、……」



けれども、すぐに私は心の中で土下座することとなる。




．





「よかったら、協力させてくれないか？」


東城さんが言ったのと同時に、宮西さんが
「ヤスコ！コーヒー！俺のデスクに！」

って事務のヤスコさんに大声で叫ぶもんだから、最初は聞き取れなかったんだけど。




「うるさいんだよお前は！コーヒーくらい自分で入れろ馬鹿！

……だからね、よかったら協力させてくれないか？って」




一瞬でも彼らを疑った自分を殴りたくなった。
まさかこんな素敵なことが起こるなんて…！


こんなに心強い味方がいてくれたら何だってできそうだ…！

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