オワリにしよう。2（Daiki.A）

58（03.23 up） ページ14

．





大貴「んめー」


目の前で居酒屋の看板メニューであるつくねを頬張る有岡くん。

あぶらで唇がとぅるんとぅるん。かわいい！




自分の気持ちに気づいてしまってから、いや、正確に言えば認めてしまってから、私はずいぶんとバカになった。

いちいちときめいてしまうようになった。



．




A「もうお腹いっぱい…」

大貴「おいー、それじゃあ比べらんねーだろ」



とりあえず今日は、都内でわりと近場にある2店舗に出向くことにしていた。



一軒目で思いのほかお腹が膨らんでしまい、現在二軒目。

黙々と食べる有岡くんに対して、私のお箸はのんびりのんびり動いている。



．



A「店舗調査はいいけど、こんなんしてたら太りそうだなー…」

大貴「いいじゃんべつに」

A「全然よくない！今の子みんな痩せてるもん」

大貴「お前だって今の子じゃん」

A「今の子といえば今の子だけど、ぽっちゃりだし…」



そうかー？って言いながら唐揚げを頬張っている。こっちなんて見ちゃいない。

完全にあしらわれてる感。あぁ言えばこう言う、そんなことないよって言ってほしい系のめんどくせー女だ、とでも思われたかな。



一人で勝手に落ち込んで、しかたなくつくねを頬張る。やっぱりおいしい…。






大貴「…まぁ、」


食道に停滞しているものたちをビールで流し込んで顔をしかめながら、有岡くんは言った。





大貴「ちょっとくらい太っても大丈夫でしょ、可愛いから」



．



聞き間違いか何かかと思った。


なに言ってんのー！なんていつものリアクションを忘れた私は、完全にコイスルオトメ状態で、なんとも歯切れが悪い。




有岡くんは私のリアクションを確認するように上目遣いで一瞬こっちを見ただけで、その後は何食わぬ顔でメニュー表を眺めていた。


店員さんに声をかけて追加注文して、木村は？大丈夫？なんて聞いてくる始末。





社交辞令…だよね？

あるいは私がぴーぴーうるさいから、封じ込めようとしたのか…？


それとも…？





何はともあれ、そこから私はすっかり太るだのなんだのと言わなくなった。


これが彼の思惑通りだとしたら、おそろしく計算高い…


．

59→←57

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す