オワリにしよう。2（Daiki.A）

45 ページ1

．





.






「悪いけどうちの酒を変える気はないし、増やす気もないんですよ」


A「あの…なんとかお話だけでも、」


「今言った意味わかる？もうお酒は間に合ってるって言ってるんです。お引き取り願います。」






.






久々に任された大仕事


頑固オヤジを説得しろ、という指示で嫌な予感はしていたけれど

案の定、ろくに話を聞いてもらえなかった。





ガタイが良くて、太く凛々しい眉、ものすごい眼力



もうその見た目だけで怯んだ私は、断固として譲らない彼に為すすべもなく、足早に退散したのだった。






「あの社長本当に頑固なんだよなー。前の契約更新のときも、惨敗」



一緒に先方先を訪れた課長が、そう言って肩をすくめた。




相手は大手居酒屋チェーン。



大手チェーンといいつつ店舗数がさほど多くないのは、“希少価値を落としたくない”というトップの意向らしいけれど、


店舗数が少ないながらも、客に嬉しい価格設定と

何より豊富なメニュー、王道なものから一風変わった料理まで



個性溢れる居酒屋は、口コミで広がりたちまち人気となっていた。







課長曰く、うちの会社としてはなんとしても捕まえたい相手であり


しかしながら、トップの人たちが自ら気に入った酒しか置かないということで、正直営業の意味もあるんだかないんだか、という感じらしい。








「今回で契約できなかったら、結構やばいなー」



課長が口をへの字に曲げ、苦い顔をした。



．

46→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す