俺達のサジャ XIV

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Aは、強い。

よくヨジャアイドルが喩えられる花とか女神とか、そういう可憐な言葉よりも、太い木の幹という言葉がしっくりくる奴だ。


だけど、"強い" というのは "無敵" という意味ではない。
いつだったか、ドギョムもそんなことを言っていた。



"『みんながいるから立っていられます』"



ドキュメンタリーの中で、笑顔でそう言い切ったA。

しかし何があっても折れなかったアイツの足は今、度重なる不幸で確実にすり減ってきているはずだ。


アイツの中心にあるのは、アイツが動く理由は、いつだってメンバーだった。

それなのに今は、たった一人で……あとどのくらいもつだろう。




WZ「……ジョンハニヒョン」




俺達に、何ができるだろう。

アイツが折れないように、ここから何ができる？




WZ「……少しだけ電話してみませんか、Aに」




俺は口下手だから、上手く言葉にできないだろうけど。

お前らの声なら、愛をしっかり言葉で表現できるお前らなら、きっと糧になれるんじゃないかって。









ジョンハニヒョンのスマホでAに電話をかける。

3コール目が鳴ったところで、プツッと音がして電話が繋がった。



『〔もしもs〕』

MG「ヌナっ！！」
DK「ヌナァァァ！」
SG「ヌナ、大丈夫ですか！？具合はどうですか！？」
JH「ウリエギ、ちゃんとご飯食べてる？たくさん美味しいもの食べるんだよ」
HS「おい、ちゃんと寝てるかA！？」
JS「寒いから温かくして寝るんだよ」



繋がった瞬間、全員の顔色がハッと変わった。

聞こえてきたのは、久しぶりに聞くアイツの声。
しかしその声は、ミンギュ達によってすぐに掻き消されてしまった。


そしてみんなが一気にまくし立てた後は、しんと静まり返る。
数秒間、スマホからは何も聞こえてこなかった。

どうしたのだろう、と全員で顔を見合わせていると、



『〔はははっㅋㅋㅋ〕』
SC「〔ヤーお前ら！一気にまくし立てるな、びっくりするだろ！〕」



からからと笑う声と、俺達を叱る声。



JH「なんだ、スンチョリもそこにいたの」
SC「〔当たり前だろ、泊めてもらってるんだから〕」
『〔みんな、連絡できなくてごめんね。久しぶりだね〕』
DK「ヌナァァァ！ㅠㅠ」
SG「ヌゥゥゥナァァァ！ㅠㅠ」
『〔ヤー、ドギョマ、スングァナ！なんで泣くの〜ㅋㅋㅋ〕』



ああ、Aだ。
ちゃんと笑ってる。

よかった。

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