コーヒー時々オムライス

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まさか・・ね
そんなはずない

ここはオフィス街だもん

「NYkid」を利用するサラリーマンなんて
たくさんいる

ただの偶然

「じゃあ、みんな予定通り、ミーティングを9時半より始めるからよろしく」


そう言った部長はカップに口をつけ、
彼にとったら、相当苦みがきつかったのか、
眉をひそめた


「ねーねー、A？」


「ん？」


「今日さ、ランチ行かない？」

小さい声で向かいの雅紀がそう言った


「え〜、雅紀の奢りなら」

「奢る奢る」

「いや、ちょっと待って、
気前よく、奢るっていうところ怪しいな」

そう言うと

「あはは
バレましたか」

と、下を軽く出した雅紀

「もう何年付き合ってると思ってるのよ
っで？どうしたの？」


「いや、ちょっとさ
KKエンジニアリングなんだけど・・・」

「ちょっと待った、仕事？」


「・・・うん
頼む助けてよ」

そう言って手を合わせて拝むような仕草をする雅紀


「何？」


「明日・・俺さ出張なの」

「そうね、明日からしばらく釜山だっけ？」


「そうそう。
っで、向こうのプレゼン用の資料がまだ揃わなくってさ」

・・・
・・・


「は？」


「ごめーん、マジで
ランチと・・・なんなら、韓国のお土産買ってくるから」


「いらない
だって、明日でしょ・・・
どうするのよ」

「だからAに頼んでるんじゃん、
俺、ミーティング後さ外せないアポ入っちゃってさぁ」


「・・信じられない」


「信じてっ、お願いっ」

雅紀が申し訳なさそうに
手を合わせる

このポーズに、私は入社したときから
惑わされてしまう


「わかった」


「マジで、
もう、神様仏様A様っ」


と屈託のない笑顔を私に向ける

「とりあえず、私も自分の仕事あるから、
優先順位は後回しだけどねっ」


「大丈夫、そこは気にしてない」

そう言ってにっこり笑う


「あのさぁ、そこは気にしてよ
てか、私間に合わなかったらどうすんのよ」

「大丈夫、Aはできる子だから〜」


「本当、調子いいんだから」


と、ため息をつく

「あ〜。ため息ついちゃだめだよ、
ほら吸って吸って」

そう言ってオーバーなリアクションを見せる

「誰のせいでため息ついてるのかわかってる？」


「わかってるって、
ランチどこがいい、
予約入れるから」

「じゃあ、角亭の刺身定食」

「了解」


「デザート付き」

「了解」


私は、軽く息を吐き
ミーティングまでの時間、
少しでも自分の仕事を進めることにした

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