追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ48)

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「ここで別れを告げた時には、
すでに翔と今の奥さんの間でできた命は誕生してたわけで・・・
あぶなーい、私ややこしくなるところだったじゃん
そしてのまま違った選択をして
もし私がそのことを知ってしまったら、うーん、流石にどうしたらいいのか
わからなくなってそう・・・」

「それ言われると
ごめん、ちょっと立場きついな」

「責めてるわけじゃないの」

そう言って笑う

「・・・ごめん」

「いや、だから謝らないでよ」

「確かに、知らなかったとは言え、
リンをさらに傷つけてたかもしれない」

「それに
その子は一生、翔に会うこともできなかったかもしれない
それも悲しくない？」

そう言って俺を見て
軽く頷いた

「あぁ、またそんな顔する
だからこれは「もしも」という仮定の世界だから、
あはは、もう、真面目だなぁ」

「俺はいつも真面目なの、
リンは良く知ってんだろ」

俺はリンをジッと見る

「ふふ、うん、知ってる
下ネタばっかりで、いつもふざけてて、イキってるけど
根はすんごい真面目」

「なんだろ、若干ディスってないか？」

「ディスってる？」

そう言って大笑いしたリン

「でもね、翔、
『もしも』の世界はないの
全て、現実、リアル
だから、良かったのよ
有るべくして有った人生だったんだなって思うだけ
翔が今幸せならそれでいいと思える
私たちがあの時、別れるという選択は間違っては無かった
だって私も幸せだもん」

そう言って笑う

その笑顔に俺は

「リン、おまえも変わんねぇな」

とつぶやく

「幸せよ
家業も無事、伝統も守れる、ついでにワインもできちゃった」

「ワインはついでかよ」

「そそ、ついで
あと、Leoがいて」

「好きな人は？」

「ん？内緒」

「どうして？」

そう言って笑ったリン

「翔には言いたくない」

「なんだよそれ」

言えねぇような人なのかと
聞こうとしたその時

「あ、そろそろ時間大丈夫？
もし良かったら、持って帰って欲しいものがあるの」

と言われて俺も慌てて腕時計で確認する

確かに時間は、ここを出る予定の時刻に近づいていた