追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ27)

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「え？じゃあ、日本に帰ってきてるの？」

「帰ってるもなにも・・
そだなぁ、１年のほとんどが日本よ、
こっちに来てるのが３分の１ぐらいじゃない、滞在もそんなにできないから、
基本行ったり来たり？」

そう言って笑ったリン

「なんだよ、それだったらそうと言ってくれればいいのに」

というと
軽く唇を噛み
はにかんだ

「あ、ここじゃなんだし」

そう言って、俺の横をスッと通り抜ける
するとあの柑橘系の懐かしい香りがリンのあとから遅れて香る

「リン・・・」

「ん？」

振り返ったリンに

「あ・・いや、香水変えてないんだなって・・・」

「そう言う翔こそね」

と言って笑った

リンもまた、俺の香りを覚えていてくれたことに
少しくすぐったい気持ちになった

「え？あぁ、まぁめんどくさいっていうかさ・・・」

「あぁ、わかる、それ。」

そう言いながら、俺はリンの後をついていく

「部屋の中がいい？それとも、ここでいい？」

そう言って、
さっきのテラスを指さす

「あぁ、ここで・・・
天気いいし、気持ちいいから」

もちろん、それは本心だった
でも、やはり、女性の家に勝手に入るのはさすがに
まずいかなという思いや
既婚してる自分自身に後ろめたさもあったのかもしれない

そういう思いも含めて、
俺らが別々に過ごしてきた１０年という月日を改めて実感する

「待ってて・・・
あ、よかったら
私、今朝食べる時間無かったから、
ブランチでも
ていうか、本当は今からカフェにでも行こうかと思って、出てきたのよ」

そう言ってガレージを指す

「あ・・ごめん」

「いいよ、せっかくの再会だし
その前に、いつまでここに入れる？
って翔には聞いた方がいい？」

そう言ってまるでいたずらっ子のように笑ったリン

「あぁ、夕方の便でシャルルドゴールから帰国するから・・・ボルドーからだと」

「お昼過ぎには出なきゃ、じゃあ２時間くらいはゆっくりできそう？」

「そだな、せっかくだし、
ここでのんびりするのも悪くない」

というと、フと笑ったリン

「じゃあ、待ってて、
すぐ用意する
って言ってもそんなたいしたものは、
今ここにはないから、期待しないでね」

そう言って、部屋へと入っていった

俺はリンを見届けると
ウッドデッキに添えてあるベンチに座った