追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ12)

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でも、俺はその流れを自然であるかのように
持っていきたくて

「一緒だな」

「何が？」

話題を振った

「ほら、さっき言ってたイタリアの話」

「ん？」

「こうやって手をつないで、
みんなを追っかけたよな」

「あぁ・・うん
もう何年前だっけ？」

「確か、5年じゃね？」

「そっかそんなに立つんだね・・」

あの時の俺は、リンとこんな中途半端な関係になってるなんて、
思わなかっただろうけど

でも、長い人生なんて、修正は何度でもできる

「あの時、本当は心細かったんだよね」

そう言ったリン

「だと思ってたよ」

「え？」

リンはきっとみんなと離れて、
不安でいっぱいなんだろうなって
まぁ、横にいる俺が、こんなんだしね」

「そうなんだよね」

「って、おい、そこは否定しろよ」

「はははは」

俺は、雨で冷たくなったリンの手を、しっかりと握った

「俺さ、不安にさせてばっかりだったよな・・・ごめんな」

「そんなことないよ、翔が一生懸命なのわかってたし
少しいつも残念だけど」

「って、おい、そこもちょっとはフォローしろ」

そう言って、笑うリン

「残念って・・
でも、もう、不安にさせたりしねぇからさ・・・」

「・・・」

俺がそう言うと

何も言わずに
俺の方にコツンと頭をのせてきたリン

「・・・」

「懐かしいね
あの時と同じだ」

そう言って、目を瞑った

「リン？眠いの？」

「うん・・ちょっとだけ、
飛行機で、あまり眠れなかったから」

「あぁ、かなり揺れたろ？」

「うん、何回も乱気流で落ちた」

「だろうね、
俺もかなりひどかったから、後から到着した
リンはもっとひどかったんだろうな」

「少しね、流石に、いろいろ覚悟した」

「あはは、何、覚悟したんだよ」

「いや、覚悟は間違いかな、
なんだろ、やり残したこといっぱいだなって、思った」

「あはは、そうだよやり残しまくりだわ」

俺の肩に頭をこすりつけたリン

「少し眠る？」

「うん・・・」

「あ、でも、どこで降りるの？」

「ボルドー」

「ボルドー？」

「大丈夫、終点だから・・・」

そう言って、そのまま黙った
激しく打ち付ける雨の中、電車は走り抜ける

俺は、何も見えない景色を、眺めていた

リンは、いったい何を考えているのか
全くわからないままだった