霧がかる世界 ページ10
俺はAの手を半ば強引に引き
そして、そのまま、勢いよく
バスルームのドアを開けた
バンっ、
扉を開けた音にAは少しびくっとなったけれど
そのままAを押し込むようにAをバスルームに押し入れた
嫌なんだ・・・
俺のAから、しょうちゃんの香りが残ってるのが
俺は許せなかった
俺はシャワーを手に取り、
そして、勢いよく
蛇口をひねった
その途端、
もちろん、当たり前のように水圧が上がり
シャワーの先が跳ねた。
そして、俺はそのままそのシャワーの先をAに向けた
「・・・やっ
冷たい・・・やめて・・・」
出はじめのシャワーの温度はもちろん冷たい
んなことわかってたはずなのに、
俺の中では治まりがつかなかった
「おねが・・・」
懇願するA
別にAが悪いわけでもなんでもない
俺はただただ、どうしようもなく、
シャワーを(生え)の頭からかけ続けた
「だまれ・・・頼むから・・・」
俺が最初に出た言葉は、そんな冷たい言葉だった
ざーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バスルームにその音だけが木霊する
すると、暫くして、床かから、霧がかったように、湯気が立ち始めた
シャワーの温度がようやく通常の温度になってきたようだった
Aは、しゃがみこみ、うつむいたまま・・・だまって
頭からそれでもシャワーをかぶり続けている
俺のジーンズも、Aからの返り水で色が変わっていく
「・・・・和
どう・・・して？」
泣き声のようなAの声に
俺もただただ泣きそうになる
「・・・嫌なんだよ」
「え？」
と下を向いていたAがずぶぬれのまま、
俺を見る
Aは、俺のものなんだ
俺はあの部屋から全てを覚悟して、
Aを連れて逃げてきたんだ
「嫌なんだよっ」
吐き捨てるようにそう言った
シャワーの先は、
俺の足元で音を立てる
「・・・和
私を・・・助け出してくれたんじゃないの？
私・・・のこと、嫌なの」
違う、そうじゃないんだって
そう言う意味じゃないんだって
俺の目が一瞬にして、かすんだ
それは、涙だったのか、
この湯けむりからだったのか・・・わかんない
「嫌なんだよ・・・・本当
もう、勘弁してよ」
誰にむかって言ったんだろう
そう・・・それはAに向かっていった言葉では無かった
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結愛(プロフ) - 和くんの立場を思うと、やるせないです。しょうくんに依存することでしか生きられない主人公に、少しだけ私と似た部分をかんじました。 (2020年3月3日 20時) (
レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - とても面白いお話でした。最後の3話から訳が分からなくなって、何度も読み返しました。和くんの中の主人公が好きという気持ち、しょうくんの部屋での出来事などは全部記憶からなくなってしまったということですよね。しょうくんと主人公の存在も和くんの中から消えた。 (2020年3月3日 20時) (レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2020年2月14日 21時
