パイかタルトか ページ4
わかってない・・・か
そうだよな
俺は、Aの気持ちを全然わかってなかった・・・
もう１５年以上だ
パイかタルトか
俺か、しょうちゃんか・・・
過ぎてしまったこの時間を、
俺たちはどう埋めていったらいい？
しかし・・店内が暑いのか
こころなしか、俺ののどの渇きが半端なかった
帰ったら、今日はいい酒が飲めそうな気がした
「パイでいいじゃん、だって、A、カスタードもキャラメルも好きだろ？」
そういうと、ニコって笑ったA
Aの好みはわかるんだ
もう、小さい時から一緒にいるからね
でも・・・
俺はAの気持ちはわかんなかった
俺はそんな男だ
「すいません、じゃあ、このストロベリーパイを」
「何カットしますか？」
そう店員が、これでもかと言わんばかりにほほ笑んだ
「え・・・と」
Aが言いかけた時
「全部・・・それ、丸ごと全部ください」
と、言った
「え？ちょっ・・・和、ムリムリ、こんなに食べれないよ」
「いいんだよ、全部・・・
切らないでいいから、そのまんま
そのまんまがいいの」
俺が言いきると
目を輝かせたままAはだまった
「かしこまりました、少しお待ちください」
そういって、店員が中を確認し
「今、裏で焼き立てが出来上がるので、そちらをお持ちしますね」
といい、裏の厨房に入って行った
「ちょっと和・・・こんなに食べれないよ」
「いいんだよ、今日くらい、好きなもの食って太っとけ」
そう言うと
「え。やだ、いらない」
とまたふてくされる
「じゃあ、やらない」
そう言い返すと
「う〜〜〜〜〜〜〜っ」
と唸り声をあげた
焼き立てのパイを片手に、
外にでる
外の寒さでこのパイの温かさと、甘い香りが余計に伝わる
「行こう、冷める前に」
って行っても、ここから電車に乗って帰宅したときには、
とっくに冷めちゃってるんだろうけどね
俺は、片手で、そのパイの紙袋をもち、
もう片方の手でAの指を絡めるように、にぎった
青と緑のイルミネーションに引き込まれるように
俺らは、駅に向かった
急にぞわぞわと寒くなり
俺は、少し早めに足を進めた
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結愛(プロフ) - 和くんの立場を思うと、やるせないです。しょうくんに依存することでしか生きられない主人公に、少しだけ私と似た部分をかんじました。 (2020年3月3日 20時) (
レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - とても面白いお話でした。最後の3話から訳が分からなくなって、何度も読み返しました。和くんの中の主人公が好きという気持ち、しょうくんの部屋での出来事などは全部記憶からなくなってしまったということですよね。しょうくんと主人公の存在も和くんの中から消えた。 (2020年3月3日 20時) (レス) id: 790ab34727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2020年2月14日 21時
