宮侑が真面目に恋をする話。

32.【自覚】 ページ33

心にモヤがかかっとる気がする。

分担してスポドリを配る。ありがとう、と言われても耳に入ってこない。



何も無いはず、侑と私の間に情も何も。

なんでこんなに虚しいのか。



何も無いからか。





悩んでいても仕方ない。仕事はせなあかんし他のマネは気を利かせとんのか侑にだけ渡してない。
私が最後に渡す羽目になった。







『はい、お疲れさん』




心の中で遅なってごめんと謝りながらスポドリを渡す。


待ってましたと言わんばかりの笑顔。



「あぁおおきに」




あぁ、そういうことか。



『…次の練習も頑張りや』
「次なんの仕事？手伝おか？」
『いや、1人でも出来る』




「大変やったらいつでも言いや？」





私はどうやらこいつに情があるらしい。

恋っていう。情が。






体育館舞台裏。物陰に踞る。



『1人じゃ抱えきれへんなぁ…。』



あぁ好きになってもたわ。









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「ごめーん！宮！侑の方！A見てない？」
「あぁ、なんや体育館の舞台裏の方行ったで」
「……まじ？」


なんやその間は。



「何かあかんことあるん？」


「あぁ、仕事頼みたかったんやけど…。」


なんやそういうことか。


「てか舞台裏、体育館の点検で不備あったところで…まだ修復できてないねん。大丈夫やろか。まぁ行ってみるわ！ありがとう！」

と舞台横の扉へと榛名さんが走る。

「待って俺も行くわ。」

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