四十九話 ページ9
頭痛がする。
腹の底がむずむずして気持ちが悪い。
俺は仲間を後ろに引き連れながら見慣れた道を歩いている。
一カ月も早いもので、もう俺は学校に登校しなくてはならなかった。
用事なんてできなければ暫くは来ない予定だったのに、と俺はぼやくが意味もない。
「今時、下剋上なんてあるんだな」
後ろでそう言う声が聞こえた。
俺は首だけを斜め後ろに回してそれに応えてやる。
「さアな。それを言うなら一年に聞け」
「つーか、お前に掛かるとか馬鹿な奴もいるんだな。俺、逆に感心した」
わははと笑い声が上がった。
本当にこいつらは俺を崇めたがる。
理由は分からないが。
携帯を開いて時間を確認すると、もう昼前に来ていた。もちろん朝から行く気などない。
先公共はもう俺が来ないとでも思ってるんだろう。
退学も時間の問題だ。
俺は今の内にやらなくてはいけないことを考え始めた。…時だ。
「うわっ、なんだ！？」
ブレザーを着た集団が俺たちを囲んだ。
見たところ、他校なのは一目瞭然だ。多分、憂さ晴らしか恨みを晴らしに来たのどちらか。
俺の眼前に立っている奴がポケットからナイフを取り出した。
「てめェ、松野Aだろ！ 今度は間違えてねえぞ！！」
「………一度間違えたのか」
「死ね！！」
俺目掛けて走って来る眼前の奴。俺は手首を乱暴に掴み、そのまま胸ぐらを掴んで真後ろに吹き飛ばした。
真下はコンクリだから、悲痛な叫びが聞こえた。
弱弱しくナイフを握っている手を踏みつける。
「ひっ…、ぎ、ああ！」
「今、機嫌が悪い訳じゃねェ。帰れ、今日は見逃しといてやる」
そう言ってから静かに離れる。
仲間が「珍しいこともあるもんだねエ！」と笑った。
倒れている奴の仲間であろう奴らが道を開けた時だ。後ろから声が上がった。
「何してんだ！ そいつを逃がすんじゃねぇ！！」
ドスドスッと嫌な音がした。
片手で握ったナイフと、左腕に刺さったナイフ。
ぽたぽたと滴り落ちる血の滴を見てから、俺を差した奴を見降ろす。
眼が合った瞬間、小さい悲鳴が聞こえた。
「人刺す度胸がねエなら、喧嘩なんてやめろ。わかったら、さっさと失せろ」
ナイフが抜かれ、慌ただしく逃げて行く後姿を眺めながら、俺は刺された箇所を手で押さえた。
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れもん - 東郷さんについてこの後兄弟に話したのかとか一松を実は守っていたということに対して兄弟がどのような態度で黒斗に接するのかなど気になる部分は多々あります…書いて欲しかった…。主人公が理不尽な目にあって六つ子が悪役に見えなくもないですが良い作品でした。 (2022年1月21日 22時) (
レス) @page33 id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - とても泣いてしまいました。いい作品ですね！ (2017年8月24日 7時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウア(プロフ) - 完結おめでとうございます。占いツクールの小説で物凄く久しぶりに泣きました。作者様にこのコメントが読んでいただけるか分かりませんが本当に面白く、何かを考えさせられる小説でした。とっても面白かったです。 (2017年5月28日 21時) (レス) id: ef6262a277 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 何か主人公が理不尽すぎる気がします (2017年3月30日 21時) (レス) id: be64f1ec17 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - いの近さん» コメントありがとうございます!私も、読者さんと同じ気持ちです!素敵と呼ばせてもらえる主人公と松野兄弟が書けて良かったです!最後までありがとうございました。 (2017年1月22日 11時) (レス) id: 095eb051dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルアルア | 作成日時：2016年10月23日 18時
