復讐のレクイエム2東京編 (ページ15)

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そして、ある日の夜。
　
のえるに呼び出されたレオは、その可憐な主から、こんな言葉をかけられた。

「あのねぇ僕の誕生日ぱーてぃーリゼに準備してもらおうと思うのー」

あどけない口調でいいながらのえるが微笑んだ。

「毎年お誕生日はねぇ、羚がくるのぉ！だからね

そこで出てくるお料理やお茶を、今年はリゼにお願いしたいのっ！！」

「で……ですが、のえるさま」

動揺で心中がぐらぐらと揺れる

リゼルハーコートの事をリゼと呼ぶまで仲が良くなっている…このままでは自分の地位が危ない！

「リゼルはまだまだ経験不足｡のえるさまのご友人といえど……いいえ、ご友人だからこそ、粗相があっては大変です」

「えーじゃ～レオはリゼの補助を『お願い』しょうかなぁー」

「補助……」

「うんうん！準備はリゼが主体！レオは見ているだけだよぉ！」

(俺を差し置いて、未熟なリゼルが主体？)

その答えを聞いて、レオは驚いてしまう。自分がリゼルの添え物になるなど、とても信じられなかったのだ。

「のえるさま。リゼルは任された仕事に不服ばかり口にして、そんな重要な役目はとても務まりません」

「えーリゼならきっと、お茶会を成功させることが出来ると思うんだけどなぁ」

「！！」

リゼルがのえるに色々チクったら不味い

「……分かりました、のえるさま。しっかりとリゼルに指導させていただきます」

「わぁ！やったァ！！ふふっ」

天使のような可憐な笑み

レオは複雑な心境で笑みを浮かべた。

(それにしても思った通り、のえるさまに取り入ろうとしている)

　まだまだ未熟なくせに、そういうことばかりは一人前だ。

嫉妬の渦が巻き起こる

あの男のことが、どうにも邪魔で仕方がない。

(媚を売ったところで、のえるさまは俺をお選びになるのに。ああ目障りだ。第一、今年のお茶会の準備で挽回すれば、旦那様も俺への態度を和らげると思ったのに)

レオの顔を除くのえる

「どうしたの？」

「！」

レオは急いで顔を上げる。まさか、苛立ちが顔に出てしまっただろうか。

「リゼが心配？」
「え……ええ。やはり可愛い部下ですから、万が一にも西園寺家の名に泥を塗ってしまったらと思うと、心配で……」

「レオは優しいねぇ」

　美しいのえるは、その透き通った瞳でレオを見つめて微笑んだ。