ep.17 ページ19
本部長室には、特定の者しか入れない。
何かあると危ないから…だ。
A「それにしても…。」
いつも思う。
A「何で本部長室に行くのにこんなに歩くの…。」
いつも私たちがいるのは1階から3階。
本部長室は地下6階。
エレベーターを降りて、
暗証番号付きの扉を開いて、
センサーで指紋認証その他もろもろをして
やっと着く。
トントントン…。
A「第一部隊隊長のAです。」
「どうぞ。」
中から声が聞こえる。
ギィ…と重いドアを開ける。
中には2人いた。
一人は専属秘書の日下部 詩織。
もう一人は本部長の松田 啓介。
日下部「Aさん。こう対面で会うのはお久しぶりですね。」
日下部さんはまったく変わっていない。
A「そうですね。
本部長も。お久しぶりです。」
私は目の前で椅子に座っている人に話しかける。
松田「…そうだな。A。
東雲はどうだ？」
…やっぱり。涼のことか。
A「別にどうともないですよ。
補佐なんて要らないと思いましたが信じてみようって。
そう思ったぐらいですかね。」
ふっと笑いながら私は言う。
そのあとの言葉で私から笑顔が消えた。
松田「��リュウ��のことはどうだ？」
…リュウ……。
A「…さあ。どうでしょう。」
恐らく今私の目はひどく冷めているだろう。
思い出したくない。
あんなに辛い過去を。
思い出したくない。
松田「そうか。まあ、いいだろう。」
本部長は依然無表情のまま私を見つめる。
何故私はここに呼ばれたんだろう。
これを言われる為？
松田「東雲 涼と仲良くな。」
気づくと私は本部長室を出ていた。
A「何で…リュウを…思い出させるの。」
いらいらが募る。
そのいらいらを募らせながら1階へと歩いていく。
ドンッ…！
A「いったい…！！
前見て歩きなさいよ！！」
私はぶつかった人を見る。
A「…あ…」
目の前にいたのは
涼「あれ？Aさん？
もう帰ってきたんですか？」
涼だった。
A「まあね…。涼は？」
私は涼にあったことに動揺していた。
何故だかは知らない。
無意識に動揺しているのを勘付かれないようにしていた。
涼「俺の部屋を探してたんです！
鍵だけ本部指揮官に渡されたんですがどこなのかわからなくて…。」
怪蟲機密捜査本部に入ると、いつでも出動できるようにこの本部に住むことになる。
まぁ、第二部隊までだけどね。
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作者名：かえぴょん | 作成日時：2015年5月20日 7時
