武装探偵社の高校生くん【文スト】

第二十八話 ページ30

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「…………」

『…………』



沈黙がその場を制した

疑問の顔を浮かべる中也とそれをジッと見つめる鈴

その間に太宰の暗い影が落とされているために表情はわからない



「………誰だ手前、俺はお前を知らねーぞ」

『…………』



何も表情を変えないまま見つめてくる少年を中也は睨んだ

大方太宰の味方だろう。コイツも何かを企んでいるに違いない

そう考えた中也が警戒して少し身構える



『そう警戒しないで下さいよ』

「…………っ！」

『僕はこの変態の回収に来ただけなので』

「(コイツっ…！いつのまに後ろへ)」




瞬きの一瞬で少年の姿が消え失せ太宰の目の前に立っていた

人間離れした少年が太宰の髪を引っ張っている



「イタタタタ…私の美しい頭髪が」

『ただの癖っ毛だろ。さっさと行くぞ』

「はいはい」

『…情報はもう既に頂いてるので、場所は教えてもらわなくて結構です』

「！？(やっぱり太宰の仲間か…人虎の情報も入手済み。)」



中也が引き留めようとした時に少年が横目でそう言った

少年が来てからあっという間に時が過ぎている

おそらく太宰がここに囚われた時から計算されたものだろう




「ッチ…(アイツ…やっぱ何か企んでいたな。くそ…腹経つぜ)」





にしても、あの少年は何者なのか

名前を親しげに呼ぶところを見るに知り合いだったのか…？



『中原中也さん』

「！」

『またどこかで』







＊








コツ…コツ…



『……人虎の情報ついでに敦くんのいる密輸船も操作した』

「さすが、私が教えた操作技術は衰えてないようだね」



太宰を回収して取り敢えず、仕事は終えた

後処理も完璧。

残るものは一つだ、答えなんてもう導き出しているのだが





『…それで、理由をお聞かせ願えるかな？』

「ん？」



とぼけた顔のソイツにこう聞いた。
















『僕の情報をポートマフィアに教えたのは何故だ』

「…………」








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