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第十七話 ページ19







「おい鈴、太宰はどこへ行ったのだ」

『…すみません。僕にはあの唐変木を抑えることはできなかったです』

「ハァ…やはりアイツには手錠をかけてでも仕事をさせなければいけないらしいな」

『代わりに僕が手伝いましょうか?』



喫茶店から帰って探偵社に戻ると案の定国木田先輩の怒り声

太宰は変わらず人に迷惑をかけるのが趣味らしい。

僕はせめてと思いそう聞いてみた



「いや、新人にやらせるには大変だ」

『僕、多分できます』

「多分じゃ信用できんぞ。兎に角お前には別の」

『あ、国木田先輩。パスワードのツメが甘いですよ』



国木田の話を遮って、カチカチと鈴がパソコンを弄る

すると10秒も満たないうちに国木田のパソコンのパスワードを解除

国木田の目が点に変わり、メガネがカクッとズレた




『何してるんですか…?早く仕事終わらせましょうよ、定時で帰りたいですよね?』

「いや…は…?え…?俺はお前にパスワードを教えたか…?」

『いえ、喫茶店で少し暇してたので…探偵社のパスワードでも調べておこうと思いまして』

「ハッキングでもしたのか…?」

『僕、器用なんです』



パソコンから目を放すことなく、国木田の仕事を進める

一方で彼は驚き過ぎて固まっていた。



「(馬鹿な…外部からのハッキングには厳重なシステムが働く筈だ。
少なくとも数週間はかかる作業を…数分でやり遂げたのか…!?)」

『と、言うのは嘘でして、国木田先輩の性格などから勘でパスワードを入れました。
とてもわかりやすいですね』

「は…?」

『あ、器用なのは事実ですよ?』




enterのボタンをカチリと押して、クルリと向き直す

そこには爽やかな青年の笑顔。これがまさに正当なことをしたとでも言うような清々しさだ

加えてはっきりと太宰の笑顔も見える。



『国木田先輩は実に面白いですね。仕事終わらせたので次の仕事ください』

「…貴様…」

『僕が太宰よりも仕事がデキる人間なのを証明したいので』



国木田が震えるのを少し面白がっているのか、微かに悪戯っ子の笑みが見える

それを目撃した敦が苦笑いを浮かべていた。




『定時まであと5時間以上ですよ?終わらせるものは終わらせましょう』




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みき - とっても面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月16日 8時) (レス) id: 8d56403f64 (このIDを非表示/違反報告)
☆のん☆(プロフ) - 11話、淳じゃなくて「敦」です。キャラクターについての誤字はもっと気をつけたほうがいいと思います。 (2019年5月21日 15時) (レス) id: b41524b4b3 (このIDを非表示/違反報告)
十夜 - クドい様ですが、敦が淳になってます。 (2019年5月6日 21時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 続きめちゃめちゃ楽しみにしてます! (2019年5月1日 21時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ(プロフ) - 中島敦が中島淳になってますよー!更新応援しています! (2019年4月26日 21時) (レス) id: 956baee6af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水餅 | 作成日時:2019年4月20日 12時

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