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姫坂:オリジン ページ18

三上「…ねぇ、本当に1人で大丈夫?まだうちにいてもいいんだよ?」

『…いつまでも、迷惑になるわけにはいかないから。』


家族3人を失って3日が経った頃。
この3日間は歌歩の家でお世話になっていた。

100%善意なのであろう歌歩の家族からの好意は、私の心に罪悪感というものを芽生えさせていくだけのものになってしまった。
そんな状態のまま、この家族の輪の中に入ってはいけないと、無理を通して家に戻ると宣言したのが昨日の23時。歌歩の弟妹たちが寝静まった後だった。


三上「A…!どうしていきなり!」

「そうよ、まだうちにいてもいいのよ。」

『もう、十分お世話になりましたので。』

三上「…バカっ!こんな時に私たちに気を遣わないでよ…!迷惑だとか、そんな理由でAを1人にさせるような覚悟で、貴女をうちに呼んだわけじゃない!」

『歌歩…』

三上「まだ子供の私じゃ頼りないかもしれないけど、お母さんとかお父さんとか、誰でもいいから頼ってよ…。」


私よりも泣いている歌歩。…これじゃどっちが落ち込んでるか分からないじゃない。


『…頼るとか頼らないとか、そんな話じゃないの。

………ここにいると、私がどんどん惨めになってくる。だから、ごめん。
こんなにも温かい家庭の中に入ることなんて、もう出来ないんだよ。
私の家族は、3人しかいないんだもん。

この後荷物をまとめて、明日の朝に歌歩のお父さんに挨拶してからうちに帰ります。

今までありがとうございました。』

「Aちゃん…。」

三上「〜〜っ!バカ!」


目に涙をいっぱい溜めて自室へと帰ってしまう歌歩。私を心配してくれているのがわかる。でもこのままだと、ずっと心配させたままになってしまうから。


「ごめんなさいね。あの子、Aちゃんのことが本当に大好きなのよ。」

『…私もです。』



──────────



『そんなに引き止めなくても、すぐ近くに住んでるんだから、いつでも来られるよ。』

三上「…絶対に来ないじゃない。」

『そんなことない、何かあったらまた来るから。』


そんなにない荷物を持ち直して、家に帰る。



誰もいない、私だけの家に。

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作者名:通りすがりのいぬ | 作成日時:2022年5月19日 20時

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