灰谷蘭は騙されない【東京卍リベンジャーズ】

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魁戦


名乗り出たのは獅音だ



チラリと姫を見て親指を立てる獅音




『ファイトー！獅音くん！』


高みの見物である姫は



今日一の笑顔である



可愛い、なんて思ってしまうのは男の本能なんだと思う。




ベラベラ喋って煽りに煽っていた獅音が一発でダウン。






見てしまった。俺は誰もが見る前にあの女を


瞬間猫かぶり女の笑顔が消えた。




瞬殺で終わる魁戦。

この女は好きな男やられてると言うのになんて顔してやがる。


汚物を見るような冷酷な眼差し。ファンの奴らも凍り付く。

その中に竜胆もまた立ち尽くす。


到底好意のある奴に向ける目ではない。自分までもゾワゾワしてしまう感覚の中





「お前…獅音が好きなんじゃ」

ようやく紡げた言葉に被せるようにピシャリと言い放つ

『…いつ、私があんなやつ好きなんて言った？』



言ってない。思わせぶりな態度だけで俺は勘違いしていた事に気付く

獅音の好きなところを照れて話すその仕草、表情も全て演技だったのだ。



『言ったでしょ？私もイザナにとっては駒でしか無いんだから。』


冷たい視線は俺に向けられる

『斑目の士気をあげる為にここまで演じてやってたの。』


カチッ…とライターの音が聞こえる。


俺だけが知ってるはずの猫かぶりがどんどん剥がれていく







煙草の煙を吐く姿と東卍の雄叫びが上がる



どうやら俺も騙されていたみたいだ。





『ガキにノされるザコ狂犬の餌も飽きたんだよ』





吐き捨てる女はまたから見れば性格悪いクソ女かもしれない。




この俺も騙す程の女はそうそういない…



更に欲しくなる。



熱く焦がれる感覚。



やっぱり欲しい。



王にも竜胆にも誰にも取られたくない




あのクソ女が




欲しい

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