夢、薄れる。 ページ4
ここまで調べて、恐らくの推測はなんとなくついた。
入れ替わったのではなく、俺はカン・Aのまま。
若返ったわけでもない。
以前までの俺の存在は消され、新たに年齢と容姿だけがすげ替えられた。
たぶん、家族との年齢差も変わってないんだろう。
「……わけわからん……」
はあ〜と大きくため息をつき、荷物をまとめる。
混乱しすぎて逆に冷静になってしまった。
そろそろ不審がられそうだったし丁度良かったけど。
個室から出て、鏡を見る。
あのときは一瞬しか見えなかったけど、
世に言う、イケメンだ。奇しくも。
元おっさんが言うくらいなんだから自惚れではないだろう。
「はあ〜〜〜〜……」
出よう。とりあえず。
これから自分が何をすべきでどこに行くべきなのか、まだ調べるべきことが多すぎる。
駅員に尋ねると、どうやらここはちゃんと、元おっさんの俺が降りる予定だった駅らしい。
どうすべきか、これから。
会社員でもない今、というか元俺でもない今、衣食住を確保できる立場にいるのか。
1990年生まれ、今は……2011年。あー……22とかか。若いな〜……
ということは、一番可能性が高いのは学生?
ああ、きついなそれ。なんせ数時間前まで勉強なんて視野のどこっていうより真後ろにいたから……。
でも財布の中には学生証なんかなかった。
就職できてるのか、予備校生とか……
調べなければとは言ったものの、何をどうしていいか見当もつかず、駅内のカフェに立ち寄ってうだうだ時間を潰していく。
ガラスの向こうから絶えず投げ寄越される視線。
その一つと目を合わせるとそれは女性で、はっとした顔をしてからすごい勢いで逸らされた。
……イケメン、なんだよな?大丈夫だよな?
「ねっねっ、あの人めっちゃかっこいい」
「えーどこ?」
「ほら〜あの、白Tにジーンズの人!黒髪!」
「え〜……うわっマジじゃん!すご〜さすがソウル!」
……。
万が一現俺が学生だろうが社会人だろうが、なにも分からないままであろうが、この顔があれば食っていけたりするのだろうか。
そんな希望的観測をもてあそんでいると、スマホがブーブーと音をたてた。
ぴこん!
「!?」
「……っだービックリしたぁ……!なんでバイブのあとに普通に音鳴るんだよ……」
メッセージが届いたらしい。
真っ黒の画面に一文が浮かぶ。
母びっぐひっとエンターテイメントにはつきましたか?
俺の機械音痴、母譲りなのか。
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mask(プロフ) - いいえ、こちらこそすみませんでした。ご丁寧な返事ありがとうございました。次の更新を楽しみにしてます! (2018年5月31日 22時) (レス) id: b5f8d2284e (このIDを非表示/違反報告)
しゃおとぅん(プロフ) - maskさん» それでも分かりづらい時はお手数おかけしますがもう一度コメントしていただけると嬉しいです。そこでまた考えようと思います。ご要望に沿えず申し訳ありません。 (2018年5月27日 10時) (レス) id: fd1bf708ad (このIDを非表示/違反報告)
しゃおとぅん(プロフ) - maskさん» コメント、応援ありがとうございます!名前表記の件ですが、今のところはまだ要検討ということでお願いします。これから日常パートでメンバー同士の会話も増やしていこうと考えていて、なるべく描写や口調で見分けられるようしていくつもりです。 (2018年5月27日 10時) (レス) id: fd1bf708ad (このIDを非表示/違反報告)
mask(プロフ) - 誰がどのセリフを言ってるのかあまりわからなかったので、「」の前に喋っている名前を付けていただけると嬉しいです…!それとは別に、自分が何者かいまいち謎なまま進んでいく物語というのが新鮮で、すごく面白いです!頑張って下さい! (2018年5月26日 18時) (レス) id: b5f8d2284e (このIDを非表示/違反報告)
しゃおとぅん(プロフ) - ツバキさん» コメント、アドバイスありがとうございます!次の更新で取り入れようと思います! (2018年5月4日 12時) (レス) id: fd1bf708ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃおとぅん | 作成日時:2018年4月22日 6時