【名探偵コナン】愛され松田の恋愛事情【男主】 (ページ23)

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らぶ23 ページ23

《舘川の家族事情 7》

『松田！！』

ベンチから幾らか走った路地裏。

そこで漸く松田を捕まえ、乱れた息を整える。

『いきなり走り出したりして、どうしたんだよお前』

松田は荒い息をするだけで、こちらに目を合わせようともしなければ顔を上げようとすらしない。

最早俺から顔背けてるよね。

『……おい松田、黙られると困るんだけど。てかお前気分はどうした。随分素晴らしい走りでしたけど……え？』

感じた衝撃に、壁に背中が押し付けられる。

首筋に当たる荒い呼吸と、ぎゅうと掴まれるシャツの胸元。

ふわふわと存在を主張するくせっ毛に、あれ、俺松田に抱きつかれてね？と冷静な頭が判断を下した。

『え？今そういう流れだった？？松田ー？』

｢っ……やっぱり、Aはああいう可愛い女の方がいいんだろ｣

『はぁ？』

いきなり抱きついてきてなんだというのだこの男は。ていうか暑いんですけど。

｢俺みたいな可愛げのない男より、柔らかくて可愛くて愛嬌のある、ああいうやつ｣

『いやあのさ、姫那多は妹なんだけど』

｢俺はAのこと名前で呼んでるのに、お前は呼んでくれないだろ｣

『あれ話通じてる？？』

なんだか空回ってんなぁ…と松田の頭をぽんぽんしてやれば、ビクリと体を震わせた。

『だったら言えばいいだろーが。名前で呼んで、って』

｢…………言えたら、苦労してねぇよ｣

さらに小さくなってしまった松田にしょうがねぇなぁとため息をつく。

『名前で呼んだら満足か？』

｢…………付き合え｣

『どこに』

｢俺と｣

『いいぞ』

｢…………は？｣

がばり、勢いよく顔を上げた松田が至近距離で俺の顔を凝視してくる。

近い近い。

｢……正気か？｣

『それ俺のセリフじゃねぇか？そもそも告ってきたのお前だろ』

｢そう、だが、｣

『いいっつったらいいのー。取り敢えず戻んぞ』

｢っおい！｣

腕を引いて歩き出した俺を、松田が引き留めようと逆側に力を入れてくる。

くっそこいつもゴリラの仲間だったか。力が強い。

｢いきなりなんでだよ！｣

『んだよ、付き合いたいんじゃねぇの？』

｢今までそんな素振り無かったじゃねぇか！｣

『はー、陣平くんは喧しいなぁ』

｢はァ！？｣

腕を引っ張って、ほっぺに口付ける。

顔を見れば、真っ赤になったあほ面が。

『好きになったから。これでいい？』

顔をそむけて、腕を引く。

きっと真っ赤だから、見せる訳にはいかないな。