【名探偵コナン】愛され松田の恋愛事情【男主】 (ページ18)

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らぶ18 ページ18

《舘川の家族事情 2》

『……はぐれた』
｢……だな｣

道行く人に囲まれながら、俺と松田は途方に暮れていた。

＊＊＊

そもそも何だこの人の多さは。

汗の止まらないような猛暑日にも関わらず、駅前には人がいっぱい。

人間のバーゲンセール状態だ。なんだそれ。

右見て他人。

左見て他人。

後ろを見ても他人。

一緒に来たはずの伊達たちの姿はどこにも見当たらない。

まずこのエリアに来て早々、萩原と諸伏が、｢あっちだよー！！｣とはしゃいだ声を上げて走り出した。

いきなり走り出した諸伏達に、｢おい待て！｣と慌てて追いかける降谷と伊達。

俺はといえば、人に暑さにバテ気味な松田を介護していたので、気づいたら周りから居なくなっていた伊達たちに、｢あ｣と意味の無い単語を発するしか出来なかった。

のでどっちに向かっていったかも分からず、声のみの状況判断。

そして見事にはぐれたって訳だ。

いくらなんでもここは人通りが多いからと松田を支えながら道から外れる。

『それにしたって、戻ってこないとは白状な奴らだな。わざわざ一緒に来た意味』

｢…………わりぃ、俺に構ってたから｣

『は？松田は悪くねぇだろ。はしゃぎ出した萩原と諸伏が悪い。そもそも人混みきてはしゃぎ出すとか子供かアイツら……？』

そう考えると降谷と伊達が親か。

親の手を煩わせるわんぱく坊主研二と景光。

いい歳した男があほか。

暫く歩いたところに丁度よくベンチを見つけたので、其方に向かい松田を座らせる。

一息ついて、しっかしそれにしたって日差しがキツイとため息をついて伝う汗を拭う。

『あっちぃな。なんか買ってくるから松田はここで待っててくれ』

｢…………俺も行く｣

発された言葉に、ちらりと横目で松田を見る。

松田は、頬は赤いのに顔は青いという酷い有様で、汗も多いし何よりフラフラ、目も潤んでるし……うん。

『ダメに決まってんだろ。歩くのだってやっとなんだ。いい子だからここで待っとけって、な？』

いつも伊達たちがやっているように頭に手を乗せ、くせっ毛を掻き混ぜる様にして撫でる。

ぽんぽんと軽く叩いて顔を覗き込み、もう一度『な？』と念を押すと、潤んだ瞳を少し伏せて｢……ん｣と松田は小さく頷いた。