【名探偵コナン】愛され松田の恋愛事情【男主】

らぶ15 ページ15

｢……A｣

『あ？ 何？ 』

｢……なんでもねぇ｣



俺の名前を呼んでは、嬉しそうに頬を緩めて、なんでもないという松田。

どこの付き合いたてのカップルだよ。バがつくな。

今日日(きょうび)聞かないやり取りだ。絶滅危惧種。


いや、
高校時代の同級生の佐藤(彼女持ち)が、

｢佐藤くん｣
｢なぁに｣
｢呼んでみたかっただけ、きゃっ｣

というやり取りを実際にした、らしい。

俺も今したわ。相手は男だし恋人でもなんでもねぇけどな。



昨日もこんな感じだった松田の奇行は今日になってもとどまることを知らず。

一向に辞める気配はない。


俺こんなに名前呼ばれたの久しぶりだわ。



まぁ、そんなことは置いといて。

俺は今、とても重大な問題に直面しているわけなんだが。



｢…………｣
｢…………ちっ｣
｢……はは、｣


上から(死んだ目をした)萩原、(人一人殺せそうな顔をした)降谷、(比較的穏やかだが目が笑ってない)諸伏である。

伊達は教官に呼ばれてどっかいったらしい。助けて。


どう考えても原因は松田の嬉しそうな顔。をさせるに値した俺。の名前。くそか。


いやほんと名前くらいでヘイト買いたくないんだけど。

これ以上降谷のパンチ食らったら死んじゃうと思うのね？


しっかし諸伏は白状な奴だ。

昨日俺と仲良くすんじゃねぇのかと聞いたら、

｢仲良くはするけど1番は松田だしそれとこれとは話が別｣

との事で。

はっ、つら。



そもそも何故こいつらは俺の周りに群れてくるのか。


いや、分かってる。

まず、松田が俺のところへ来るだろう。この時点でおかしいが、悲しいかな事実である。

そうすると必然的に諸伏達が着いてくる。必然だ。避けられぬ現実だ。


いやもう学校休もうかな……



『…………お前らさ、そんなにカリカリすんなら来るんじゃねーよ』

｢カリカリ梅なんて食ってないけど｣

『萩原お前俺の事バカにしてる？？ 』


そもそも俺はカリカリ梅嫌いだし。


『はぁ、分かった分かった。俺はちょっくらお散歩してくるからお前ら松田と仲良くしてろ』

｢A、俺も着いてく｣

｢松田が行くなら｣
｢俺も｣
｢行く｣

『松田？？ 俺の話聞いてた？』


松田が着いてきたら意味が無い。

しかし当の松田は拗ねたような顔をして、


｢……だって、俺はAと仲良くなりてぇんだ｣


とのたまった。

それに｢う゛っ｣｢くっ……｣｢んん｣と3つの呻き声。
セコム共が攻略された瞬間だった。

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