【名探偵コナン】愛され松田の恋愛事情【男主】 (ページ14)

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らぶ14 ページ14

｢そういえば舘川って何好きなの？｣
『こんぺいとう』
｢こんぺいとう｣

おい誰もリピートアフターミーしろなんて言ってないぞ。

呆然と繰り返した諸伏。そんな彼と俺の様子に気づいたのか、降谷が松田を撫でながらこちらに話しかけてきた。

｢おいヒロ。何してんだお前｣

｢何って見ての通り、Aくんとお喋りしてる～｣

事も無げに告げられた諸伏の言葉に、俺はとても戦慄した。

『お前……俺の名前知っ』
｢なんで諸伏が名前呼びしてんだよ！ズリぃ！！｣

てたのか。
俺の発した言葉は虚しく、松田の大声にかき消された。つらたん。

｢松田も呼べばいいじゃん。名前｣

｢いっ…やそれは、その、だな……｣

諸伏に促された途端、顔を真っ赤にしてモジモジし始める松田。

乙女か。

そんな松田をフォローするように、諸伏が言葉を続ける。

｢松田って他の奴らも名字呼びだから、名前呼びされたら特別感あっていいんじゃね？なっ舘川｣

『いや別に俺名前で呼ばれたからって嬉しくな』

｢ん？｣
『ｱｯめっちゃ嬉しい』

絶対零度の笑顔でこちらの顔を覗き込んでくる諸伏に俺は速攻で意見を翻した。

おかしい。
こいつ俺と仲良くするんじゃなかったのかよ。話が違うじゃねぇか。この裏切り者っ。

脳みそで茶番を繰り広げながら、ニコニコと松田に向き直った諸伏を小さく睨む。

その松田と言えば、未だ赤い顔で｢あー｣だの｢うっ……｣だのと唸っている様子。

や、別に、

『呼びたくないなら無理して呼ばなくても』
｢舘川ちょっと黙れ｣
『ゥッ……』

真剣に松田を見つめる降谷に腹を小突かれ言葉は途切れる。

小突かれた。小突かれただけのはずなのに何だこの痛さ。もうこのゴリラいい加減野生に還れよ…

腹を抑えながら降谷達を見れば、精一杯言葉にしようと頑張る松田にエールを送っていた。

いや俺の名前なんだと思ってるの？？

これは呆れた顔になるしかない。

それにしても早くおわんねぇかな……。松田セコム共による松田の為の俺の名前呼ぼう選手権。

ぼけーっと何も無い空中を見つめていれば、松田が萩原に背中を押され俺の方に。あ、終わります？

｢あー、えっと…だな。たてか、わじゃなくて…ん……A｣

顔を赤らめ、少し涙目な松田に俺には無いはずの乙女心がキュンとした。

ん？キュンとした…？？

『ん、何？』

少し戸惑い、気の所為だと言い聞かせてへんじをすれば、松田は顔を輝かせたのだ。

……絆されてる。