悪い噂 (ページ25)

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それからのことは覚えているけど、忘れたい

嘘、忘れたくないけど苦しいことだった

朝、目覚めると隣には愛おしい顔

赤ちゃんみたいな寝顔に頬を緩めて樹くんのほっぺを
つつくと「んっ」って言いながら顔を顰める

思わず笑って、朝ご飯の支度をしようと布団から出るとなにも身に纏ってないことに気づく

あぁ、そういえば

なんて昨日の情事を思い出して、頭が痛くなる

こんな関係、望んでいたわけじゃないのにな

そんなことを思いながらもベッドの下に落ちていた自分の下着を纏って服を着る

樹くん、朝はなに食べるかな？
って思いながらも適当にパンを焼いて目玉焼きとウインナー

流石に初めてというわけではないけど激しくて上手な樹くんに抱かれれば身体は痛くて、言うことを聞かない

『あー、痛い』

って呟くと

「俺のせい？」

って樹くん

あれ？いつの間に起きたんだろう

『んふ、おはよう樹くん』

「おはよう、朝ごはん作ってくれたの？」

『うん。食べる？』

「食べる」

こんな会話が微笑ましくて、幸せだって思う

あー、チョロいな自分
また北斗に言われちゃうよ

って思うけど、好きな人と過ごす朝は
どんな理由や事情があっても嬉しいものは嬉しくて

「あ、Aちゃん。俺コーヒー飲みたい」

ってそう伝えてくれるだけでもにやけてしまう

身体の関係って、こんなに甘くて良いのだろうか
想像していたものと違って、錯覚してしまう

もしかしたら私は樹くんの彼女になったんじゃないかって、

そんなこと

「あ、もしもしマナ？あー、今日？別にいいよ」

ないのにね、