悪い噂 Ⅱ (ページ42)

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「ねぇ、お願いだから、樹のこと助けてよ」

そういった所で、私の家に着いた。
北斗には俺から言っておく、ごめんねってそう言って帰路につく。

呆然と、立ち尽くすことしかできなかった。

だって、樹くんは舞花が好きで、私がどれだけ想っても、叶わない人で、私が居なくても、大丈夫でしょ？

もう、全部、分からなかった。

部屋に戻って、シャワーを浴びる。
樹くんはどういう思いでいるのだろう。

舞花と樹くんは、どうなっているのだろう。

考えれば考えるほど分からなくて、嫌になる。

ピンポーン、とチャイムが鳴る。
鳴らした人は見慣れた黒髪の彼で、なんの迷いもなくドアを開く。

『ほくっ、』

「A！！！！」

ぎゅっと、強く、抱きしめられる。
いつも冷静な北斗からは想像つかないほど、乱れていた。

焦っている、その理由は分かる。私のせいだ。
森本くんから聞いたのだろう、樹くんのことを。

だから、不安なんだ。
不安にさせているのは、いつだって私だ。