悪い噂 Ⅱ (ページ41)

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『森本くん？』

「ん、覚えててくれてよかった(笑)」

『えっと、どうしたの？』

「今日北斗、教授の手伝いでしょ？今1人？」

『あー、うん』

「送らせてよ、話しながら」

森本くんの目が、少し苦手。
全てを見透かしたような、それでいてどうすることが最善なのか分かっているような、そんな目。

『わ、かった』

それでいて、ちょっと、高圧的。

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「樹と連絡とってる？」

『ううん』

「そっかあ。俺何回も連絡してんのにずっと未読なんだよね。電話も出ねぇの、困っちゃう」

ちょっと笑いながら、でも、困っている表情。

「ねぇ、樹に連絡してやってくんない？」

『できない、ごめん』

「なんで？」

『ほく、北斗を、裏切りたくないから』

「あー、連絡しないでって言われてる？」

あいつ、独占欲強いからなあ！ってちょっと苦笑い。

「言いたくなかったんだけどさ、俺、1回樹の家行ったの。チャイム何回も鳴らしたら1回だけ出てくれたんだ。その時にさ、あいつ切羽詰まったような表情で言ったんだよ、」

なんとなく、その先を聞きたくなかった

聞いたら、戻れなくなりそうだったから

樹くんを忘れて、北斗と幸せになる未来に、戻れなくなるような気がした

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「Aちゃん！って、あいつそう言ったんだよ」

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ほら、やっぱり、聞かなきゃ良かった