悪い噂 Ⅱ (ページ40)

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「A、デートしよっか」

『ん、どこ行く？』

「映画見たいって言ってたから行く？」

『え！ほんとに！？よく覚えてたね』

「そりゃあ覚えてるでしょうよ」

『んふふ、ありがと』

「いーえ。明日10時に迎え行くわ」

『了解！』

樹くんとしっかり話してからの日々は穏やかだった
悪口を言っていた女の子も北斗の牽制のおかげで落ち着いたし、舞花とも仲良しのまま。

ただ、樹くんが学校に来る回数が減ったこと以外は。

舞花に「樹、家に行っても駄目だった」って言われた時はどうしようかと思った。
悲しそうに笑う舞花を見て、心が傷んだし、咄嗟に樹くんの家に行こうとしてしまった自分も嫌だった。

「Aのせいじゃないよ」

って言ってくれる北斗には救われている。
「俺からも声掛けるから」って。
それと共に「Aは連絡しないで」って不安そうな北斗の顔を見たくなくて、なにもできないでいる。

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「ごめん、ちょっと教授に呼ばれたから一緒に帰れないわ」

『ん、いいよ。頑張ってね、雑用(笑)』

「ほんと好かれてるのはいいけど雑用は嬉しくねえ(笑)」

そう言って笑う北斗は本当に先生方から好かれる。
その真面目な性格と成績の良さ、愛想が良いからなんだろうけど、断れない性格だからたまにこうしてお手伝いという名の雑用を任されてしまう。

それが、私の北斗の好きなところの1つでもある。

久しぶりの1人帰り道。
付き合ってからずっと北斗と帰っていたなあ、なんて大切にされていることに改めて気付かされる。

「Aちゃん、ちょっといい？」

そう声をかけてきたのは、あの日、樹くんに初めてキスをされた日に部屋にいた森本くんだった。