悪い噂 Ⅱ (ページ20)

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帰り道、ぼーっとしながら帰っていた。

舞花は本当に良い子だ。
樹くんが自分を好きだって分かってても、また1から好きになってもらって、やっぱり舞花じゃないとダメだって。そう思って貰えるようにするんだ、って。

きっと、私ならずるいからそんな風に考えられない。

‘‘ 樹のことが好き。だから彼氏と別れたの ’’

きっと、そう言えば樹くんは舞花のものなのに、な。

『っあー！もうやだなあ！！』

「なーにが嫌なの？」

『ぎゃっ！』

ヌルッと後ろから出てきたのは北斗で、可愛くもない声が出たけど北斗ならいいか、なんて。

「もっと可愛く驚けないの？」

『人間ガチでびびったらこんなもんでしょ』

はいはい、って十分可愛げのない返事をする北斗に置いていかれないように少し走れば立ち止まって待っててくれる。

そんな優しさが今の私にはじんわりと温かかった。

いつもそう。
北斗は私にとって温かい。

「ほーら、帰るよ？」

『っ、うん！』