【アイカツ！】マガトの呪いと宵闇のコーデ

第8話　シャットダウン ページ9

帰りのバスには誰もいなくて、私たちはドアの近くに並んで座った
私が窓際で、スミレちゃんは通路側

ぼんやり窓の外を見ていると、スミレちゃんが肩に寄りかかってきた
ふわふわのフードのファーがちょっとくすぐったい

スミレ「Aちゃんはアイカツが楽しい？」
A「えっ？うん、もちろん」

唐突な質問にビクッとしちゃった
忘れかけていた昨日の夢を思い出して・・・、

スミレ「私もずっと楽しかった、でもちょっとだけ、疲れちゃったのかも」

でもスミレちゃんはそれきり目を閉じて何も言わなかった
そうだよ、そんなわけない、あれはただの夢
私はスミレちゃんの手にそっと自分の手を重ねた

静かな夜道に、バスのエンジンの音だけが響いていく
空には半月と満月の間くらいの月が顔を覗かせていた

スミレちゃんは眠ってしまったみたい
そりゃそうだ、一日中歩き回ったんだもん
私もなんだか眠くなってきた

そのまま目を閉じようかというとき、ふと、スミレちゃんのカバンが見えた

まさかね・・・、

そんなわけない、スミレちゃんのカバンにそんなものが入ってるわけ・・・、
考えれば考えるほど、気になって眠気も覚めてしまう

A「スミレちゃん、起きてる？」

返事はなかった
私は好奇心に負けて、そっと、スミレちゃんのカバンに手を入れた

A「(スミレちゃん、ごめん！)」

でも、中にあったのはお財布とかハンカチとか、普通のものだけだった

A「って、当たり前だよね。何やってんだろ私」
スミレ「探し物？」
A「ひゃっ！？ごめん！」

スミレちゃんは怒ったようすはなくて、ただ、静かに微笑んだ

スミレ「内ポケットが大きいところも気に入ってるんだ、このコート」

そう言ってふところに手を差し入れる
まさか、そんな・・・、

黒く塗られた鉄が、月の光をギラギラと反射していた

A「いやだ・・・、やめて・・・、うそでしょ・・・？」
スミレ「怖がることは何もないわ、私たちは幸せになるの・・・、マガトの鏡が願いを叶えてくれるから」

こめかみに生暖かい銃口が当たった
ずっとポケットに入っていたんだ
いつから？どうやって？

マガトの鏡って、何？

スミレ「それに、誰かに殺される夢は新しい自分に生まれ変わる暗示・・・、『いい夢』なんだから」


パン！


私の疑問が言葉になる前に全ての思考が強制終了された
あの音がして、世界が真っ暗になる

そして私は、あっけなく死んだ。

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