マネージャーの、山田です。

喧嘩 ページ29

侑李side



………空気悪。
それが楽屋に入った、最初の感想。

もちろん暑いわけでも、埃っぽいわけでもない。

雰囲気が、異常なくらいにピリついてるんだ。

侑「おはよ」

大「…おうっ、おはよ」

圭「おはようちぃちゃん」

この空気に気を使ってか、ふたりは明るく挨拶をして来たけど………ちょっとぎこちなくて。

あるひとりを除く他のメンバーは、少し気まずそうに控えめに挨拶をするだけだった。

………原因は、分かりきっている。

侑「……おはよ、ゆーてぃ」

裕「……………ん」

…この、高身長だ。



数日前から、ゆーてぃがなんとなく機嫌が悪いのは皆が察してた。

というのも、ドラマの鍵となる役どころを演じてる真っ最中で、難しいやら上手くいかないやら、撮影が押して休みがないやら……相当大変らしい。

となるとまぁ、さすがのハイテンションも失速してしまうようで。

裕「はぁっ……」

そんなゆーてぃは、今日もイラついた様子でため息をつきながら、貧乏ゆすりをして台本をめくっていた。

体調は……大丈夫みたいだけど。

こんなんで、お芝居に身が入るんだろうか。

だからって今声を掛けちゃ、余計にご機嫌は斜めになるだろうから何も言えない。

でも、何も言わないなら言わないで、グループの雰囲気は最悪。

どっちに転んでも悪循環。

さすがの僕でも、この空気にはお手上げだ。

ゲームをする気にもなれない。

………一度、秀か涼介に、なんとか休みが取れないか交渉してみようかな…

侑「…ねぇ、秀と涼介は？」

宏「あーっと……秀さんはスタジオの方行ってて、涼介はー……どこだっけ」

光「ふはっ、覚えてないのかよ。飲み物買ってきてくれてるよ」

……チラッとゆーてぃを見れば、一瞬だけ僕らの方を見て、イヤホンをつけて。

その様子に、僕たちも思わず苦笑い。

光「うるさかったか」

雄「………そうでもなかったんだけどね」

慧「…知念、山田んとこ行くの？俺も行くよ」

侑「あ、うん…いこ」

僕たちは、重苦しい空気から逃げるように、そそくさと楽屋をあとにした。

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