涼介、涼也、涼雅

〜４３〜 ページ49

Aside


朝、顔色が悪かった涼介…いや、涼也。

昨日連絡しても返事がなかったから、余計に心配になった。

寝れてないって…何かあったのかな…

…復讐のこと、かな。

休み時間になったら聞いてみよう。

そう思っていたのに…

バタっと音がして、涼也が一瞬で視界から消えた。

ビックリしたけど、すぐに冷静さを取り戻した侑李と一緒に保健室へ涼也を運んだ。



侑「失礼しまー…あれ、先生いないや」

鍵は開いていたけど、中から人の気配はしなかった。

どこを見回しても、やはり先生はいない。

貴「ベッド、使っちゃおっか」

侑「そうだね」

全部のベッドが空いてたけど、なんとなく一番奥のベッドを使う。

ベッドに寝かせた涼也の顔色は、青白くて隈も出来ている。

クッションを足の下に引いて、第一ボタンを開けて布団をかけた。

これが今の私たちに出来る最大限の処置。

しばらく眠っている涼也の様子を見る。

侑「…多分、一回だけじゃないと思うんだ」

貴「え？」

侑「人格が変わったのは」

妙に静かな保健室に、侑李の声が響いた。

侑「また…復讐のことかな」

普段毒を吐く侑李からは想像もつかない、少し悲しそうな声。

貴「多分ね…昨日ね、涼介に連絡したの。今から会えない？って」

侑「…断られた？」

私はこくりと頷き、口を開く。

貴「外せない用事があるってさ…」

侑「…そう」

再び、保健室が沈黙に包まれたとき。

涼「…ん…？」

少し顔を歪めながら、ゆっくりと涼也が目を開けた。

貴「涼也っ…大丈夫？？」

涼「ん…大丈…っ！」

言いかけた言葉を飲み込み、ぎゅっと目を瞑る涼也。

多分貧血の目眩だろう。

すかさず侑李が自分の手を置く。

侑「大丈夫？今回は辛いだろうな…」

貴「あっ…私、温かいタオルとか用意してくる」

そう言って、保健室のタオルを持って少し急ぎ足で保健室を出た。

侑李の言うとおり、今回は辛いだろうなと考えながら向かったのは調理室。

タオルを水で濡らしてから電子レンジでチンをして、再び保健室へ。

貴「お待たせっ」

侑「あぁ、ありがとう」

侑李が手をどかすと少し眩しいのか、涼也は閉じている目をさらに固く瞑った。

温めたばかりのホカホカのタオルを涼也の目の上に乗せる。

涼「んー…」

侑「涼也、もうちょっとで良くなるから。頑張って」

小さくこくりと頷いた涼也。

早く良くなれと思いながら、私たちは涼也のそばについていた。

作者です！→←〜４２〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す