【d!】藍色の花嫁【zm】

＊ストレリチア ページ10

グルッペン、鬱によりAの結婚式破滅作戦・β国崩壊作戦は実際に許可がおりた。糖分一筋の男グルッペンが結婚式の日から逆算し今後の計画を練り、女誑しでクズの鬱がそれをデータ化していく。まさかこんなにとんとん拍子でいくとは思っていなかったAは素直に感心する。

「まさかここまでやってくれるなんて思ってもみなかった」
「ほんまもっと感謝してや」
「ありがとう兄さん」
「俺にも感謝しろ」
「ありがとうグルちゃん」

珍しく素の表情で笑うAにグルッペンは目を逸らした。昔はあんなに小さなかったのにここまで成長するのか、と心の中で懐かしむ。そんなグルッペンの心を読んだのか、鬱がそっとAを自身の背中に隠した。結局のところ兄にとって妹は可愛いのだ。








グルッペンと鬱から簡易的な作戦会議を行う。議論はヒートアップし、午前中に訪ねたのにも関わらずもう外は日が暮れ出している。


「最後にA。我々は勝利のために何でもする。お前にもその覚悟はあるか？」

グルッペンが真剣な表情でAに問う。

「ええ、あるわ。私はグルッペンと鬱が逃げ出したあの日からずっと、この国を壊したいと思っていたもの。」

思わず息を飲んだグルッペンと鬱を見てAはどこか寂しげに笑った。そして作戦会議にAは十分満足したようで姿勢を正すと、帰りの支度を始めていく。

「帰るって言ったってどないするん？こっから歩いて夜道を歩くなんて死にに行くようなもんやで」
「私、馬車で来てるから問題ないよ。今日は花嫁修行をするって言って王宮から抜け出してきたの」
「花嫁修行で軍に来るか普通…？」
「嘘の場所を伝えてるに決まってるでしょ！」
「Aなら持ち前のガッツで来てしまいそうだがな…」
「もうグルちゃんやめて！それから今後も何かあったらちゃんと、連絡してね」

片目をつぶってウインクを飛ばしたAに、鬱はゲェと声を出し、グルッペンは愉快そうに笑った。

「A、お前の依頼…我々が引き受けた」
「ふふっ、頼りにしてますよ。戦争屋さん」
「次に会うのは、結婚式か」
「何だかすごく先に感じる」
「風邪ひかんと元気でやれよ」
「兄さんこそ。女遊びはいい加減やめた方がいいよ」
「肝に命じとくわ」
「グルッペンも、気をつけてね」
「あぁ。」

着飾った重たいドレスを引きずって歩いているわりに、Aの足取りは軽かった。

＊ヤドリギ→←＊ルピナス

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す