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「あれ。ゾムさんAって来てないん?」
グルッペンとゾムが森で秘密基地を作っていればマイペースに遅刻してきた鬱が欠伸をしながら周りを見渡す。二人の声が来てない、と重なる。
「おかしいなぁ?僕より一時間も前に家出たんやけどなぁ?」
鬱が背伸びをしたその時、ゾムが素早く彼に詰め寄る。
「それ…ほんまか!!」
「え、ほんまやけど…どないしたん?」
「ゾム。詳しく状況を教えてくれ」
非常事態だと感じたグルッペンが慌てるゾムを落ち着かせる。
「…Aは俺と初めて会った時、貧困街である男に襲われたんや。あの男、Aを恨んどる。元からイかれた野郎やったけど最近変な薬に手を出してるらしくてな…。ずっとAを探し求めとるんや。だからあいつにはドレスやなくてローブ着てこいって伝えたんやけど…顔は知られとるし…」
ゾムの瞳は揺れていた。
「ゾム、お前はAがここへ辿り着いていない理由はその男が原因だと…そう思っているのだな?」
「……そうや。あいつはほんまはやばい男なんやで。貧困街では一番体格よくて…金のためなら平気で人を殺す…」
「ゾムの心配が杞憂であると信じたいが、何かあってからでは遅い。案内してくれるか?」
「おん」
─
──
───
Aは世間から隔離されたように狭い家の中に拘束され閉じ込められていた。彼女の頭からは血が流れている。
「あぁ。その瞳や。藍色の、瞳…」
そして目の前にはいつか見た大柄な男が立っていた。Aを目の前に息を荒げている。
「何…か、用ですか?」
怖がるな。と自分を叱咤して震える体を落ち着かせる。
「君はお嬢様のくせにゾムの愛人なんだってなぁ…殺す前におじさんを、楽しませてやぁ。」
にったりと、笑う男。Aは鳥肌が止まらない。ローブから出た足を男が触れる。思わず男の顔を蹴り上げるが、それは簡単に手で押さえつけられてしまった。
「自分から足を広げるなんて積極的やねぇ。」
下品に笑う男。頭から頰を伝うAの血を舐めとっていく。ナメクジが体を這うような感覚と腐敗したような口臭にAは吐き気を覚えた。
「やめて…っ」
必死に顔を揺らすがそれを楽しむかのように男の舌が体を這っていく。嫌悪感から涙が止まらない。
「さあて、ご開帳〜」
ローブの下にあるワンピースを巻くられ、下着を脱がされる。抵抗する足も縛りつけられた。
「誰か、助けて!!」
悲鳴に近い声をあげAは必死に抵抗を続けた。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…!拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…! (2019年11月27日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん!コメントありがとうございます!労いのお言葉まで…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます!!( ;∀;)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました! (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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