＊サザンカ ページ26
鬱に送ってもらいAは談話室から自室へと戻った。今日は寝よう、とベッドに横になるとコンコンと扉のノックが鳴った。横になったまま「はい」と返事をする。
「入るぞ」
訪問者はグルッペンであった。
「…珍しい訪問者」
「いつもぴっしりしてるお前にしては珍しい格好だな」
「この不謹慎な時間に来るのは鬱兄さんかグルッペンぐらいしかいないでしょ。無理に着飾る必要なんてないわ」
「鬱から聞いたぞ。体調が悪いそうではないか。」
「少し、頭痛がするだけよ…」
グルッペンはAの横になるベッドに腰をかけた。そして彼女の額に手を当てる。
「熱はないみたいだな。」
「このぐらい寝てたら治るよ。だから、」
今日はもう帰って、とAが言葉を続けようとした時、グルッペンの顔が至近距離にあって言葉が出なかった。
昔から変わらない赤い瞳がAのラピスラズリの瞳を見つめる。そしてその瞳が閉ざされて距離がゼロになろうとした。
「…ちょっとやめて」
唇と唇が重なるギリギリでAは自分の手を唇の上に置いた。グルッペンは抵抗するAが予想通りだったのかケラケラと子供のように笑う。
「昔っからお前は本当に俺の思い通りに動いてくれないな」
「誰かの思い通りなんて、もう懲り懲りよ」
「ハッ…お前の記憶が戻る前に物にしようと思っていたが…それも無理らしい。」
「…グルちゃんも私の記憶を知っているの」
「あぁ。そりゃあ生まれてからお前たち兄妹とずっと共に居たからな。」
Aは無意識にグルッペンを見つめた。
「そんな目で見ても俺は教えてやらんゾ。Aが俺の物になると約束するなら教えてやってもいいが」
「その物って言い方なんとかならないの？そんなんだから女の子が逃げるのよ」
「あぁ言えばこう言うことは変わらないな」
「可愛くない女でごめんなさいね！」
「そこまでは言っていないだろ。」
「じゃあなに？私のこと可愛いって思ってる訳？」
「そうだな。昔から、お前が俺の誘いを断ったあの日から…ずっと焦がれるぐらいには」
Aはグルッペンの突然の告白に胸がドキリ、とする。誘いを断ったのは覚えている。あの日の事を忘れるはずがない。
「あ…グルッペン？」
「返事はいらん。分かり切っている。今日が最後の望みだった。」
グルッペンは立ち上がり部屋から出て行こうとする。
「思い出したいのなら、自分がなぜβ国の革命を企てたのか考えろ。」
それだけ残して彼は部屋から出て行った。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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