＊キョウチクトウ ページ25
組織の居候生活も慣れてきた頃、Aは堂々と幹部達の談話室を使用していた。お茶を飲むためのお湯は談話室でしか使えないため、最初は仕方ないと溜息をついてた幹部達も最早Aの姿を見ても何も言わなくなっていた。
「もうほんま馴染んどるよな自分」
「そうかしら？」
「せやろ…妹様は革命の女神様やし？俺も鼻が高くていいんやけどさぁ、」
「何よ、その歯切れの悪い言い方は」
「気のせいやったらええんやけど、A…ゾムと付き合ってたりするん？」
「は？」
今日は談話室に鬱とAの姿があった。鬱はわざとらしく周りを見渡し誰もいないことを確認すると声を潜めて彼女に囁く。それに対しAは整った顔から一切の表情を消し能面のようになった。
「違ったらいいんよ！ただ、噂になっとるから」
「その噂を流したのは誰？そんな事実、一切ないからね！」
Aが前のめりになり鬱へ否定の言葉をぶつける。
「知らん。知らん！俺も今朝知ったんやて！」
「何でそんなに広まってるのよ…」
「ああ見えてゾムの浮いた話はなかったのにAには構ってるからやないの…？噂によるとゲドちゃんから馬借りてデートしたらしいやん…」
「デート？」
「デート」
「誰と誰が？」
「Aとゾム」
Aは頭を抱えた。誤解が広がっていると。
「それに今朝ゾムさんにシッマ達が聞いても別に否定はしてなかったんやけどなぁ」
「めんどくさくなっただけでしょ…。とりあえず兄さんは噂は誤解って広めてよね！」
「あ〜はいはい」
鬱はやる気のない返事をする。
そして、じっとAを見た。
「…Aは覚えてないんよな？」
「何を…？」
「昔、俺とグルちゃんが出て行く前のこと」
鬱に言われてAは気づく。…鬱とグルッペンを国から出す手伝いをする、それ以前の幼少期の記憶がないことに。
「あれ…言われてみれば確かに…」
ズキン、と頭が痛む。思わずAは自身のこめかみを押さえた。
「大丈夫か？」
鬱は妹の唸る姿にそっと背をさすってやった。彼女はまだ思い出していないらしい。
「これは、また難儀やなぁ」
鬱の呟きは頭痛に耐えるAには届いていなかった。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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