＊ジャスミン ページ15
「ちょっとゾムさん急に飛ばしすぎなんとちゃう？」
Aの肩が誰かに支えられる。その人物の声は聞き覚えのあるものだった。
「う、つ兄さん…？」
「遅なってすまんなぁ。まっ、結果オーライやろ？」
少し苦い煙草の匂い。そしてへらりと頼りなく笑う顔。それは鬱のものだった。安心するのも束の間Aはヘラヘラと笑う目の前の男の胸倉を掴みたい気持ちでいっぱいであったがそれよりも自分を救った男の言動が気になった。
この国を許さないと言った男の背中姿しか分からない。ロアを渾身の一撃で殴った男は「はぁ…」と息を吐く。
そしてさらに男の首を掴んだ。
「やめろ…！ぼ、僕が誰か分かっているのか！？」
ジャリ、ザリ、とロアが手を必死に動かして抵抗するが惨め以外の何ものでもなかった。
「A…君なら、わかってくれるだろう」
「あれだけ言って分からないの？最初から私はこの国を壊すために動いていたの」
「ヒヒッ…いいねぇ、お嬢様の割には痛いとこつくやん〜！」
エメラルドの瞳の男がロアを片手で軽々と持ち上げた。特別マッチョではない体でどこからそんな力が出ているのだろうとAは疑問に思う。
「じゃあ、家畜諸君！今からβ国の殿下には痛い目にあってもらおうなぁ！！」
「家畜はお前たちだろ！いい加減はな……せ」
「あんま騒がんと、俺はお前をいつでも殺せるんやで？」
ロアは男のあまりの気迫に声を失ってしまったようだ。抵抗なく縛られる。殿下が呆気なく捕獲されたことにより意気消沈するのは王国軍。
元より恐怖による支配を受けてきたβ国の軍など戦争屋からすればムシケラ同然であったのだ。
革命は、王国軍の敗北により成功した。
家畜であった人々の歓声が聞こえる。
「良かった…」
ズキズキと痛むお腹。血を流しすぎたのだろうか、体に鞭を打って立ち上がったせいでふらっと倒れる。それを支えたのはエメラルドの瞳の男。
「お疲れ様やな。今はゆっくり休んどき」
彼はゆっくりとAの頭を撫でて、優しい声で語りかける。薄れゆく意識の中で体を持ち上げられるのが分かる。優しげな彼の声に安心してAは意識を手放した。
「ちょ、ゾムさん？Aは大丈夫なん！？」
「軽い貧血やろ」
「腹から血ｨ出てますけど！？」
「急いでペ神に見せるで。大先生はこいつら案内してやって」
エメラルドの瞳を持つ青年、彼は鬱へ行き場を失った家畜達の案内を頼む。彼の手の中にはこの国の未来の女王になるはずだった女がいた。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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