*ガーベラ ページ2
世界政府に加盟している国々がほとんどの中、戦争屋と呼ばれる組織がそこにはあった。戦争屋…通称我々はどこの国にも属さない組織である。世界政府の掲げる世界平和という反戦争体制に対し、戦争をモットーに活動する謎の組織。戦争の誘いがあれば必ず請け負う恐ろしい組織。それが世界中での我々の認識であった。
そしてそんな恐ろしい組織の幹部である鬱はいつも通り、堕落した生活を送っていた。
「いやぁ、α国が早々に降伏してくれて助かったわぁ」
煙草をふかしながら、談話室で寛ぐ。
「戦争ないと暇で暇で仕方ないわ」
その鬱の向かいでは同じく幹部のコネシマが欠伸しながらソファに転がっている。
「確かになぁ。大先生、なんかおもろいことしてや」
さらに鬱とコネシマの間のソファには幹部のシャオロンがトレンドマークの赤いニット帽の毛玉を取る作業に熱中していた。
「シャオチャン…」
「きっしょ」
「キモいな」
「ひどい…ぐすっ」
鬱が泣いたフリをするが暇を持て余した二人は見向きもしない。
「何かおもろいことないんか?」
コネシマが覇気のないまま呟く。
談話室にはゆるーい空気が続いていた。
そんな時、談話室に丁寧にノックが三回鳴った。幹部が談話室に入る時はノックなど絶対にしない。上体を起こしたコネシマが「入れ」と上官モードに入り返事をする。
「失礼します!鬱大佐はいらっしゃいますか?」
「おるで。何や〜事件か?」
「門番から先程連絡がありまして、鬱大佐にお会いしたいと騒ぐ女性が来ております。どうなさいますか?」
部下に伝えられた衝撃的な一言にコネシマとシャオロンがアッハッハと爆笑する。
「だ、大先生っ!おま、刺されるんとちゃうんか!?」
「さっすが大先生や!!それでこそお前や!最近丸なったと思って心配しとったけどめっちゃ尖っとるやんけ!!!」
「いやいやいやいや!何でっ?俺、そんな最近気をつけて職場教えないようにしてるのに!?」
「手出した女がストーカーやったんか!いや、いいねえ!おもろいぞ!」
「今日で月二回目!ええなぁ!記録更新やないか!これでまた大先生の伝説が増えたな!!あっはっはっ」
暇で暇で仕方なかった二人からすると笑い事かもしれないが、鬱からすると笑い事ではない。一歩間違えれば殺される。なぜなら、自分の忘れたような出来事で女が激昂するのはよーく分かっているからだ。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…!拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…! (2019年11月27日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん!コメントありがとうございます!労いのお言葉まで…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます!!( ;∀;)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました! (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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