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「手、離してもいいかな」
「いいけど、どうして？」
「写真撮りたくて」
目の前に広がる色彩を、形に残したくて携帯で写真を撮る。
カメラ越しでも鮮やかさが伝わってきて、この場所のすごさを実感する。
人がそんなにいない場所で、あまり知られてない場所なのかな？と思う。毎年来てるって言ってた加藤くんだからこそ教えてくれた場所なのかもしれない。
ふと隣を見たら加藤くんも携帯を構えて写真を撮っていた。
ただ写真を撮ってるだけなのに、その姿でさえ様になってるなぁと思って1枚だけその横顔を撮ってみる。バレないかひやひやした。
「…綺麗だね」
「でしょ。これをAに見せたかった」
目の前に広がる景色と、カメラロールに収まっている景色を見てそんな言葉が口をつく。
ここに来てからほとんど綺麗、としか言ってない。
けど、それほどここは綺麗な場所だし、わたしに見せたい、と言って連れてきてくれた加藤くんにも感謝をしていた。
「ねぇ加藤くん？」
「どうした？」
「他の場所も見てみたいなって思って、その、案内頼んでもいい？」
「っはは笑。うん、いいよ。俺でよければいくらでも」
そう言って再び加藤くんはわたしの手を取る。
えっ、と思ったけどそう思ってる隙に加藤くんは先に進んでいくから慌ててついていく。
加藤くんが見つけた、という穴場以外にも、ガイドブックに載ってたりテレビでも紹介されたりする一番有名な場所だったり、紅葉ではないんだけど、と言って大きい滝がある所も案内してもらった。
「ここ、ほんとにすごい所だね」
「でしょ。Aと一緒に来れてよかった」
そう言って笑顔を向けてくれる加藤くん。
その笑顔が眩しくて思わず目を逸らしてしまいそうになる。
そんなわたしを見て「ん？どうした？」と言うからわたしには「大丈夫」という言葉でしか返すことが出来なかった。
「お腹空いた？」
「あ、、そうだね、そう言われたらお腹空いてきたかも笑」
「かもなの？笑」
「うん笑」
じゃあ行こっか、と言って手を引かれる。
この場所にご飯を食べれる場所があって、そこで食べよう、と言われる。
そこのご飯自体も有名だから少し混んでるかも、と思ったけどお昼時より少し前だからか思ってたよりは混んでなくてすぐに席に案内された。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
