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「そういえば、」
「ん？」
「加藤くんもけいちゃんに話したんだね」
「ん、あぁそう。Aが長谷川に話すって言ってたし」
勝手に話しちゃったけど大丈夫だった？と言ってくれたから大丈夫だよ、むしろありがとうと返事をする。
自分からけいちゃんに話す勇気はなかった。
加藤くんはわたしがそうだってことを知っていたのか、はたまた何も知らずにたまたま言ってくれただけなのかは分からないけれど、それでもお礼をしたくてお礼を言う。
お礼言われるまでの事じゃないんだけど、と言いながら少し笑っている加藤くん。
でも、Aがそれでいいならよかったよ、とも言ってくれた。
「…さ、そろそろ帰るか？」
「そうだね」
勉強も終わったし、学校にいる意味は無いよなぁとなってもう帰るか、という話になった。
部活の時間だからか校舎は静かで、少し遠くから吹奏楽部が練習をしてる音が聞こえてくる。
曲は今流行りのポップスで、少し切ない恋愛の歌詞が若者の共感を集めてる、とかって見たな。
「…あ、この曲」
「加藤くん、知ってるんだ」
「うん。意外だった？」
「ちょっとね」
たしかに意外だったけど、この曲は最近ずっとテレビでも流れてるような曲だから日本に生きてたら別に知ってるのは普通かと考え直す。
職員室の前を通ると、タイミングがいいのか悪いのか『失礼しましたー』という言葉と共に1人の生徒が出てきてぶつかりそうになる。
「わっ…」
「っA？どうしたの？」
「人とぶつかりそうになっただけ…笑、って、」
「ごめんなさい、周りみてなくて…ってAとシゲ！」
「なんだ、小山さんか」
職員室から出てきたのがたまたまけいちゃんで、事なきを得る。
2人はどうしたの？と聞かれたからもう帰るよ、とだけ伝えた。
けいちゃんは愛菜を待つみたいで、2人とも気をつけて帰りなね、と言われた。言ってることがまるでお母さん。笑
どこも寄るところがないけど、なんとなくゆっくり歩いて駅まで向かう。
「…そういえば、もうすぐテストだな」
「あーそっか、中間テスト」
「中間テスト終わったらすぐ修学旅行だっけ？忙しくなりそうだな」
「ほんとにね」
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
