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チャイムと共に屋上から降りた私たちは、ちょうど愛菜と教室の分かれ目でお互い手を振って別れる。
教室のドアが閉まってたから、開けようと手を伸ばしたら横から違う人の手が伸びてきて思わず声が出る。
それは相手も同じで、その声の主を確認するとけいちゃんだった。
「なぁんだ、Aか」
「こっちこそ。けいちゃんだったんだ」
「まぁね。Aは愛菜とご飯食べてたんでしょ？」
「うん。けいちゃんは？」
「俺はシゲと」
どーぞ、と言って扉を開けてくれたからありがとう、と返事をして通らせてもらう。
席について教材を机や鞄から出していると、そういえばさぁ、と話しかけられる。
「A、シゲと付き合ってんだね」
「あ…。うん、そうなの」
「愛菜には話したの？」
「さっきね。けいちゃんこそ加藤くんから聞いたんだね」
「うん、聞いた。めっちゃ驚いたよ笑」
わたしが愛菜に今日話そうと思うって話は元々してたから、加藤くんはそれに合わせて話してくれたのかな。
そう話していたら先生が入ってきて教室が静まるからわたしとけいちゃんも慌てて前を向く。
抜き打ちの小テストがあったりしたけど、それもなんとか乗り越えて帰りのHRになる。
特に何も連絡ないから、とだけ言って担任はすぐに教室から出ていった。
携帯を開くと『今日も教室で待っててくれる？』と加藤くんから連絡が入ってた。
『了解！』というスタンプとともに返事を打つと既読が付くのが早くて少し笑ってしまった。
待ってる間に数学だけちょっとやろ、と思って教科書とノートを開く。
苦手な範囲だから、テスト前になるべく苦手をなくしておきたい。
途中で自分の答えと模範解答が合わなくなって、んー？と1人で頭を捻らせていると、「そこはさ、」と上から声が降ってくる。
「うわぁっ！？」
「うぉ、」
「あ、加藤くんか…。びっくりした、笑」
声の正体は加藤くんで、視線は私のノートとか教科書の方に向いていた。
「真剣に勉強してたし、話しかけない方がいいかなぁと思って見てたんだけど悩んでたみたいだから」
「そうだったんだ。じゃあ、教えて貰っていいかな？」
「うん、いいよ。ここはさ……、」
途中式からしっかり教えてくれるからとても分かりやすくて、そういうことか、と納得する。
頭の回転が相変わらず早くてうらやましい。
そんなに問題数もなかったからすぐに終わって少しだけ2人で椅子に座って話す。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
