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side.Aina
「愛菜」
「Aー？どした？」
「あのさ、愛菜に話あるんだ」
「そんな改まってどうしたの笑」
水曜日。急に私が部活のミーティングとか入らない限りは絶対2人でお昼ご飯を食べる、と決めてる日。
わたしとAの定位置、屋上へ続く階段の踊り場で座って私がお弁当箱を開いて直ぐに私の方に向き直して、いつになく真剣な顔のA。
こんなに真剣な顔のAを見たのは初めてかもしれない。
「……彼氏、できた」
「えぇっ！？彼氏！！？？」
「ちょ、愛菜、声大きいって…」
慌てた様子でそう言われて口を閉じたけど、わたしの中ではまだ驚きが勝ってる。
Aに彼氏？
「相手ってわたしも知ってる人？」
「うん。誰だと思う？」
「それ今すること？笑」
「うそうそ。ちゃんと教えるよ」
加藤くんなんだ と言うAの表情は今まで見たことない、少し照れたような表情をしていた。
Aも、こんな表情するんだね。
「加藤って、あの加藤？」
「うん、そうだよ」
「Aと加藤が付き合ってるの？え、何それすご……」
思わず本音が出てるわたしを見て笑ってるA。
だってAと加藤って、そんなに話してる印象なかったから。
でも、目の前にいる親友は心から嬉しそうで、幸せそうな表情をしていたし、ほんとに加藤のことが好きなんだ、と思う。
「…愛菜？聞こえてる？」
「……ん、あぁごめん、A。ぼーっとしてた。何話してた？」
「次の体育の選択種目何にしたー？って思って」
「わたしはバスケ。バスケで推薦入学したのにバスケ取らない理由ないでしょ。笑」
「たしかにね笑 じゃあ愛菜とは別になっちゃうのかなぁ」
私バスケだけはどうしても得意になれなくて、って言いながらお弁当を摘むA。
Aは何にしたの？と聞いてみたら『テニスにした！ちょっとだけ出来るんだよね』と意気揚々としてる姿がなんだかおもしろかった。
二人でいる時の会話っていつも中身がない会話で、私もAもずっと笑ってるだけ。
でも私はそれが楽しくて堪らない。
5分前の予鈴が鳴って屋上を出る時に、ふと思ったことを言ってみる。
「ね、今度4人で出かけない？」
「…4人？」
「そ。私と慶とAと加藤の4人」
「それってダブルデート、ってこと？」
「うん、まぁそういうこと」
Aは少し考える素振りを見せてすぐに『いいね！加藤くんにも話してみるね』と返事をしてくれた。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
