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「……そっか。愛菜、いい子だもんね、可愛いし」
「それでね、しばらく朝一緒に登校出来ないんだ」
年齢を重ねるにつれて、何となくだけど距離を置くようになってた私とけいちゃん。
一緒にいる時間はほとんど朝の登校時間しかなかったからその時間が無くなることが悲しかった。
けど、その事をけいちゃんに言える訳もなく。
「そう、だよね。愛菜と一緒に行くんだもんね」
「うん。……なんか、ごめんね、A」
「謝んないでよ、」
私が、泣いちゃいそうになるじゃん。
なんてけいちゃんに言えるはずもなく、いつもみたいにケーキを食べていた。
帰る時、如月さんに「ほんとに怪我ない？大丈夫？」ってめっちゃ心配されたけど、「ほんっとに大丈夫です」とだけ伝えていつも通り、代金を支払って帰った。
家に入る直前、けいちゃんにこう伝えた。
「けいちゃん」
「ん？」
「いくらけいちゃんでも愛菜のこと泣かしたら許さない。幼なじみの縁切るからね？」
「…大丈夫。絶対に泣かせないから」
そう言い切るけいちゃんの姿をみて、ほんとにけいちゃんは愛菜が好きなんだなって言うのを嫌というほど実感してしまってそれにまた苦しくなる。
思わず泣きそうになっちゃったから、自分の目から涙が溢れる前にけいちゃんにじゃあね、とだけ告げて家に入る。
家族にも顔を見られたくなかったから急いで2階まで上がって、自分の部屋に行く。
あーあ……。
私の初恋、呆気なかったなぁ……。
けいちゃんが大好きで堪らなかった昨日までの……いや、けいちゃんとカフェに寄る前までの自分が羨ましい。
感情の行き場がなさすぎて困っちゃって、その日は夜ご飯を食べてお風呂に入ってすぐにベッドに横になる。
ふと、小さい頃のけいちゃんとの写真が目に入ってまた泣けてきちゃって、その日の夜はほとんど泣いてて寝ることが出来なかった。
「…いってきまーす」
そう言って家を出ればいつもならほぼ同じか少し早いかぐらいのタイミングで目の前の家から出てくるけいちゃん。
だけど、今日はその姿はない。
いつも「A〜。おはよ」と言ってくれて、自然と車道側を歩いてくれてたけいちゃんの姿がないだけでこんなにさびしいだなんて思わなくて。
学校でけいちゃんに会うのが、すこしだけ怖くなった。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
